【キャロット2021年度募集馬考察】アヴェンチュラの20

始めに

本企画では、血統研究家としての視点から注目の一口クラブ募集馬について紹介する。

紹介馬は「私がその馬に出資したいか」を基準に選定している。「血統(配合)」が優れていることを大前提として、「募集価格」「厩舎」「生産・育成牧場」「測尺」などの要素から最終的な判断を下す。

なお、馬体関係の視覚情報については、基本的に気にしないこととしている。ウォーキング動画や1歳時点の立ち姿だけでその良し悪しを判断できるほど相馬眼が肥えておらず、下手に情報を追加するとノイズになりかねないためである。ご承知頂きたい。

今回はキャロットクラブ2021年度募集馬から、アヴェンチュラの20を紹介する。私自身キャロットクラブに入会しているため、本企画で紹介する馬は応募予定馬である。読者諸賢に於いては、考察部分について参考にしつつ、私の抽選突破のためにどうか応募を控えて頂きたい。

基本情報

父:ロードカナロア 母父:ジャングルポケット

厩舎:安田隆行(栗東) 生産:ノーザンファーム

募集価格:8,000万円(一口20.0万円)

考察

父ロードカナロアはスプリンターズS・高松宮記念のスプリントGⅠ春秋制覇。それに飽き足らず、世界最高峰の短距離馬が集うGⅠ香港スプリント(T6F)を連覇し、名実ともに最強スプリンターとして現役を全うした。

ロードカナロア自身の配合は、5代内クロスがNorthern Dancer5×5×4のみというシンプルな形。注目すべきは母レディブラッサムの持つ「Secretariat=Syrian Sea3×4」である。米三冠全てをレコード勝ちした歴史的名馬Secretariatは、父系としては衰退したが、Storm Cat・A.P. Indyなどを通じ、今なお現代競馬に大きな影響を与えている。その本質は、「Nasurullah×Princequillo」のニックスによる、しなやかに伸びるストライド走法と、軽い芝・長い直線での鋭い斬れ味。その血脈が全姉弟クロスによって凝縮されたレディブラッサムが繁殖として優秀であるのは言うまでもない。更にその母サラトガデューはNorthern Dancerを引かないので、そこにNorthern Dancer4×4のキングカメハメハを配し「4分の3ND・4分の1異系」の形を作り出しているのも美しい。

種牡馬としても、2017年フレッシュリーディングサイアー獲得、2020年にはディープインパクトに次ぐ2位と大成功。現役実績からは短距離での活躍が予想されたが、芝・ダート・短距離~長距離と条件を問わず重賞馬を輩出するオールマイティな活躍を見せている。母の適性をそのまま活かす素直さはその父キングカメハメハ譲りだ。特に、母フサイチパンドラ(エリザベス女王杯制覇)からアーモンドアイ、母シーザリオ(日米オークス制覇)からサートゥルナーリアなど、母中長距離実績馬との配合でクラシックホースを輩出している点は覚えておきたいポイントである。

母アヴェンチュラは秋華賞制覇、エリザベス女王杯2着。東スポ杯2歳S→ラジオNIKKEI杯2歳S→共同通信杯を連勝したフサイチホウオー、阪神JF・優駿牝馬を制したトールポピーの全妹にあたる。Grey Sovereign6×6とHornbeam≒Sunset4×5(Hyperion、Thorn Wood=Fair Ranger)でトニービン的ナタ斬れを増幅したジャングルポケット産駒だが、その二代母ムーンインディゴのTom Fool4×3的機動力も高次元で持ち合わせていた。

本馬の配合のポイントは、「Nureyev5×4」「Try My Best=El Gran Senor5×4」のロードカナロア黄金配合。前者はNureyev≒Sadler’s Wells=Fairy Kingの相似クロスとして、ロードカナロア産駒のGⅠ馬3頭に共通。後者は名繁殖Sex Appealの牝馬クロスとして、アーモンドアイやブラストワンピースの母ツルマルワンピースと共通する。この二つの黄金配合によってロードカナロアの緩さを引き締め、パワーを主とした全体能力を底上げする。また、前述の「ロードカナロア×母中長距離実績馬」にも該当し、産駒3頭目のクラシックホース誕生へ期待が高まる。

安田(隆)師は本馬の父ロードカナロアやカレンチャンと二頭の短距離王者を輩出。リーディング順位も高い位置で安定しており、近年はノーザンファーム系クラブ内の序列も高まっている。クラブ相性も比較的良好で、勝馬率58.3%(14頭/24頭)。高価格帯(4,000万円~)に限れば、フィフティーワナー(6,000万円・GⅢアンタレスS制覇)、ジュビリーヘッド(5,000万円・現役3勝)、ルミナスウイング(4,000万円・4勝)と外さない。ロードカナロア産駒から重賞馬を5頭輩出している点も心強い。ただし基本的には短距離偏重厩舎であり、クラシック勝利が未だ無いのは気になるところ。

総評

アヴェンチュラの産駒は、初仔こそ母優先バツ2抽選という超絶人気を誇ったが、年々人気は下降気味。一昨年のサファル(父キングカメハメハ・8,000万円)に至っては2次募集でも満口にならなかった。母自身がそうであったように、産駒も脚元の故障が目立ち、その中で8,000万円という価格は確かにリスクが高い。だが、この名配合への出資機会をみすみす逃してよいものだろうか。一次中間発表でも名前は上がっておらず、おそらく一般枠でもほぼ当確、新規会員まで権利が回ってくると思われる。リスクを承知の上で、シーザリオの20とカナロア二枚看板で2023年クラシックを席巻することに期待し、一般枠で応募しておきたい。

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