中央競馬出走馬決定順の仕組み【2026年最新版】

競馬歴が長い人でも意外と理解していないことが多い、出走馬決定順の仕組み。

初心者から玄人まで、これさえ読めばどんなメカニズムか全て分かる……はず。

なお、本記事はJRA所属馬JRA平地競走に出走する場合を想定して書いている。

まずは知らないと恥ずかしい、最低限知っていてほしいクラス分けの仕組みから。

【クラス分け】

JRA公式が一番簡潔かつ正確だが、一応。

JRAの競走は、上位からG1G2G3L(リステッド)→OP(オープン)→3勝クラス2勝クラス1勝クラス新馬戦・未勝利戦に分けられる。

JRA所属馬は収得賞金額(後述)によって以下の通りクラス分けをされ、基本的には該当するクラスのレースに出走する。

未勝利クラス戦の出走資格について

所属クラスより格下のレースに出走することはできないが、出走馬決定順でフルゲート内に納まれば、所属クラスより格上のレースに出走することは可能である。

なお、世代限定戦には2勝クラス・3勝クラスのレースが存在しない。よって、2歳~3歳春までの期間においては、収得賞金501万円~1600万円(古馬2勝・3勝クラス相当)の馬に関しても、OPクラス所属馬(2・3歳OP馬)として扱われる。

【収得賞金】

競走条件を区分するための賞金。実際にJRAから交付された賞金(本賞金)額とは異なる

netkeibaなどの競馬情報サイトでは表示されていないことが大半だが、JRA公式の「競走馬検索」で各馬を調べると、賞金欄に「収得賞金(平地)」として表示されている。

JRAの場合、重賞競走の1・2着馬それ以外の競走の1着馬に対して、出走レースの条件に応じて以下の通り加算される。

※地方交流重賞・海外重賞で加算される
収得賞金額(1着の場合)

※地方交流重賞・海外重賞で加算される
収得賞金額(2着の場合)

上のクラス分け表と照らし合わせてもらえば分かるが、基本的には1勝する毎に所属クラスが1つ上がる計算となっている。ただし、世代限定戦や格上挑戦での勝利・重賞2着等によって、勝鞍数と所属クラスが乖離していることはままある。

24年には新馬戦2着(収得賞金加算0円)→小倉2歳S-G3 2着(加算600万円)としたクラスペディアが、グレード制導入以降初の「戦歴的には未勝利の(2歳)OP馬」になるという珍事が発生した。

続いて、出走順位を決める際に出てくる用語の解説。

一旦読み飛ばして、後から戻ってきてもOK。

【節】

前走からの間隔を数える単位。出馬投票日を基準に、連続する競馬開催日を1節として数える。

≒週」と捉えて概ね間違いない。

【出走馬決定賞金】

全ての収得賞金」に「直近1年の収得賞金」と「直近2年のG1競走での収得賞金」を加算した賞金額。平地G1(後述の一部例外を除く)、古馬重賞/L競走の出走順はこれにより決定する。

「直近○年」の解釈は出馬投票日が基準であり、前年・前々年同日程の翌節以降が対象になると捉えればOK。例えば、26年シルクロードSに出走を予定しているエイシンフェンサーの「直近1年の収得賞金」には、25年シルクロードSで得た収得賞金(2050万円)は含まれない

【成績対象期間】

前走着順による優先出走の対象となる期間。OP競走・3勝クラス競走の場合は「直近8節(≒中7週)以内」、2勝クラス競走以下の場合は「直近4節(≒中3週)以内」がこれに該当する。

【除外権利】

通称。新馬戦・世代限定OPクラス競走の出馬投票で除外になった場合に付与される、次走優先出走できる権利。この権利は累積し、例えば除外権利を2つ持つ馬は、除外権利を1つ持つ馬よりも優先して出走できる。

なお、除外権利の期限は最後に除外された日から2ヶ月で、出走できる馬となった時点で権利は全て失われる(例えば出馬表確定後に取消/競走除外になった場合も、除外権利は行使されたものとして消滅する)。また、この権利は自己条件以外(格上挑戦)では行使できない。 

※26年より世代限定1勝クラスの除外権利制度は撤廃。

【5頭枠】

通称。新馬戦の出走可能頭数(フルゲート)の内5頭は、出走馬決定順(除外権利の多寡)ではなく、抽選で決定する。明言されているわけではないが、除外権利を得るためだけの全く出走意思の無い登録を防ぐ制度だろう。

最近では、26年01月18日中山5R3歳新馬戦でフルゲート16頭に対し登録59頭(よって除外43頭)となったが、除外権利を持っていなかったもののこの制度によって出走が確定したサンプレクスが優勝した。

【ブロック制】

美浦(関東)所属馬は東京中山・夏季開催中の福島新潟栗東(関西)所属馬は京都阪神・夏季開催中の中京小倉の各競馬場をそれぞれ自ブロックとする。

これらの競馬場で施行される未勝利戦・1勝クラス競走に出走する場合、他ブロックの馬に優先して出走することができる。後述。

併せて、一応把握しておきたい各種出走制限についてもここで解説。

一つ目以外は今回の話の本筋から外れるので、読み飛ばしてもOK

【未勝利クラス馬の出走制限】

未出走馬及び未勝利馬(収得賞金0円)は、原則として重賞競走・OPクラス(OP/L)競走・3勝クラス競走には出走できない(後述の一部世代限定競走を除く)。

【入厩日による出走制限】

JRA競走に出走する場合、既走馬はその10日以上前・未出走馬はその15日以上前から、JRAの所属厩舎に入厩している必要がある。

現代日本競馬は所謂外厩での調整が一般的になっており、レース直前まで外厩で仕上げてからギリギリにトレセンへ入厩してレースに出走させる手法を、この制限日数から「10日競馬」と呼ぶ(実際には10日でないことの方が多い)。

【3走成績による平地競走の出走制限】

3歳以上の未勝利馬が19年以降の平地競走で3回連続して9着以下となった場合、その翌日から2ヶ月間は平地競走に出走できない。通称3アウト制。なお、2歳戦の着順・初出走時の着順・競走中止となった場合などは、この回数に含めないものとする。

【タイムオーバーによる出走制限】

重賞競走・騎手招待競走以外の平地競走に出走した馬、もしくは平地重賞競走に出走した未出走馬および未勝利馬の走破時計と、当該競走優勝馬の勝ち時計の差が下表の示す基準を上回った(タイムオーバー)場合、一定期間平地競走に出走できない

【その他出走制限】

これらの他に、競走中の鼻出血(外傷性でないもの)・規制薬物投与などによる出走制限がある。

お待たせしました。いよいよ本題、各競走毎の出走順位決定の仕組みについて。

各用語について分からなくなったら、上の用語解説参照。

【グランプリ競走の出走順位】

宝塚記念有馬記念の2競走は、ファン投票得票数上位10頭を優先出走とする。

以下は出走馬決定賞金の上位順で決定する。未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。

【3歳限定G1競走の出走順位】

桜花賞・皐月賞・NHKマイルC・優駿牝馬・東京優駿・秋華賞・菊花賞の7競走は、各レースのトライアル競走で出走権を有している馬を優先出走とする。

以下は収得賞金の上位順で決定する。未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。

なお、25年以降春季G1競走(秋華賞・菊花賞以外の5競走)に関しては、芝コースに於いて行うJRAのOP競走・1勝クラス競走・パート1国に該当する外国競走での収得賞金によって決定する。

要するに、「全ての新馬戦/未勝利戦とダート競走により加算した収得賞金」を除して計算する。以前はダート馬が自路線で得た収得賞金で東京優駿など芝路線の大レースに出走する(そして大抵の場合記念出走に終わる)ことも少なくなかったが、24年ダート三冠路線創設に伴い、これは事実上禁止となった。

【余談:5大(クラシック)登録】

上記に加え、クラシック5競走(皐月賞・東京優駿・菊花賞・桜花賞・優駿牝馬)の出走要件として、事前にクラシック登録料を支払う必要がある。牝馬三冠最終戦の秋華賞はクラシック競走ではないため、クラシック登録は不要であることに注意。

通常のスケジュールでは第1回:2歳10月(1万円)第2回:3歳1月(3万円)第3回:当該競走2週間前(36万円)という計3回の締切に合わせて支払う必要があるが、第1回に登録を行わなかった馬、もしくは第2回に継続して登録を行わなかった馬に関しても、第3回締切前に200万円の追加登録料を支払うことで出走可能としている。

この追加登録制度は、オグリキャップのクラシック出走不可を受けて92年に創設されたもので、テイエムオペラオー(99年皐月賞)・アローキャリー(02年桜花賞)・ヒシミラクル(02年菊花賞)・メイショウマンボ(13年優駿牝馬)・トーホウジャッカル(14年菊花賞)・キタサンブラック(15年菊花賞)の6頭が、この制度を利用して優勝している。

なお、この登録は各レース単位で行うものとなっている。例えばテイエムオペラオーは、第1回登録時には牡馬三冠全ての登録料を支払っているが、第2回登録時は骨折を考慮して東京優駿・菊花賞の登録料しか支払っていなかった。そのため、皐月賞出走時のみ追加登録料が必要となっている。

JRA公式の「5大登録」から登録名簿(各締切毎更新)が確認できるので、POG・一口出資等で気になる馬がいる人は定期的に見てみると面白いだろう。

【その他平地G1競走の出走順位】

優先出走権が付与される競走(ステップ競走)で出走権を有している馬と、それらを除きJRAの定めるレーティング上位10頭(牡/騙110以上、牝106以上に限る)を優先出走とする。

以下は出走馬決定賞金の上位順で決定する。未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。 

※26年よりレーティング上位枠を5頭→10頭に増加。

【世代限定重賞の出走順位】

収得賞金の上位順で決定する。原則として未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。

なお、函館2歳S・新潟2歳S・札幌2歳S・中京2歳S(所謂「夏競馬」期間の2歳重賞)に関しては、同収得賞金の馬が複数頭いる場合、新馬戦1着馬が優先される。

また、上記4競走3歳春のG1トライアル重賞に関しては、未勝利クラスの馬も出走可能となっている。前述クラスペディアの小倉2歳S出走もこのパターン。

18年には、未出走馬ヘヴィータンクが弥生賞(皐月賞トライアル)に登録。フルゲート16頭中、登録は10頭に留まり、クラシックトライアルでデビュー戦を迎えたことが話題となった。なお、同馬は優勝馬ダノンプレミアムから22.9秒離れた大差シンガリ負け。このレースを最後に引退している。

【世代限定OP競走・L競走の出走順位】

除外権利の多い順に、収得賞金の上位順で決定する。原則として未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。

なお、全ての2歳OP・L競走と、3歳春のクラシックトライアル競走に関しては、未勝利クラスの馬も出走可能となっている。

【古馬重賞・L競走の出走順位】

出走馬決定賞金の上位順で決定する。未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。

【古馬OP競走の出走順位】

OPクラス在籍馬の内、前走が成績対象期間(8節≒中7週)内の平地競走で3着以内だった馬を優先出走とする(前走3勝クラス1着馬を含む)。

次点でOPクラス在籍馬の内、地方/外国の競走に出走経験があり、JRA転入後初出走となる馬→出走間隔(節)の長い順に決定。

以下、3勝クラス在籍馬→2勝クラス在籍馬→1勝クラス在籍馬についても同様に決定する。

未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。

【3勝クラスの出走順位】

3勝クラス在籍馬の内、前走が成績対象期間(8節≒中7週)内の平地競走で3着以内だった馬を優先出走とする(前走2勝クラス1着馬を含む)。

次点で3勝クラス在籍馬の内、地方/外国の競走に出走経験があり、JRA転入後初出走となる馬→出走間隔(節)の長い順に決定。

以下、2勝クラス在籍馬→1勝クラス在籍馬についても同様に決定する。

未勝利クラス(収得賞金0円)の馬は出走できない。

【2勝クラスの出走順位】

2勝クラス在籍馬の内、前走が成績対象期間(4節≒中3週)内の平地競走で5着以内だった馬を優先出走とする(前走1勝クラス1着馬を含む)。

次点で2勝クラス在籍馬の内、地方/外国の競走に出走経験があり、JRA転入後初出走となる馬→出走間隔(節)の長い順に決定。

以下、1勝クラス在籍馬についても同様に決定。

続いて、未出走馬→未勝利馬クラス在籍馬の内、出走間隔(節)の長い順に決定する。

【1勝クラスの出走順位】

自ブロックの1勝クラス在籍馬の内、前走が成績対象期間(4節≒中3週)内の平地競走で5着以内だった馬を優先出走とする(前走未勝利クラス1着馬を含む)。

次点で自ブロックの1勝クラス在籍馬の内、地方/外国の競走に出走経験があり、JRA転入後初出走となる馬→出走間隔(節)の長い順に決定。

続いて、他ブロックの1勝クラス在籍馬について同様に決定。

以下、自ブロックの未出走馬→未勝利クラス在籍馬の内、出走間隔(節)の長い順→他ブロックの未出走馬→未勝利クラス在籍馬の内、出走間隔(節)の長い順に決定する。

なお、第三場及び二場開催時の新潟に関しては、所属ブロックによる出走順の優劣は無い。 

※26年より世代限定1勝クラスの出走決定順もこれに統一。

【未勝利戦の出走順位】

自ブロックの未勝利クラス在籍馬の内、前走が成績対象期間(4節)内の平地競走で5着以内だった馬を優先する。

次点で自ブロックの未出走馬→未勝利馬の内、出走間隔(節)の長い順に決定。

続いて、他ブロックの未勝利クラス在籍馬について同様に決定する。

なお、第三場及び二場開催時の新潟に関しては、所属ブロックによる出走順の優劣は無い

【新馬戦の出走順位】

除外権利の多い順に、フルゲートから5頭を除いた頭数まで決定。その後、5頭枠を決定する。

また、これらに加えてハンデ戦には1つ特殊な決定順が追加される。

【ハンデ戦の出走順位】

ハンデキャッパーにより決定された実際の負担重量に、馬齢/性別/産地等の各種アローワンス分(牝馬2㎏減など)を加算し、その重量上位3頭を優先出走とする。同重量の馬が複数頭いる場合、抽選で優先出走となる馬を決定する。

以下は各競走クラスの出走順位に従う。

なお、JRA・NAR交流・海外の一部指定競走への通算出走回数が2戦未満の馬は、ハンデ戦に出走できない

※26年よりハンデキャップ対象期間内の出走回数による出走資格制限を撤廃。

【最後に】

多少覚えることはあるものの、仕組み自体はそこまで複雑ではないので、これを参考に出走順位を自力で把握できる人が増えることを願う。

因みに、JRA公式の「GⅠレース出走馬決定順一覧」から、特別登録締切(施行日2週間前)後のG1競走について、出走順を確認できる。

また、ラジオNIKKEI公式の「競馬ニュース」では、特別登録馬公開後(毎週日曜19:00~21:00頃?)に翌週重賞競走の出走馬決定賞金順を掲載してくれている。

自分で計算するのが面倒だという方は、これらを利用するとよいだろう。結局公式が最強

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