※各種データは2024.10.20現在に更新。
※特に断りのない限り、データ・画像はTARGET frontier JV・JBIS Searchより引用。
基本情報
繫養:社台スタリオンステーション(2020-)
生年:2014年 生産:ノーザンファーム
競走成績
JPN:18戦6勝 UAE:1戦0勝
2018 G1-大阪杯(阪神2000m)1着
2019 G1-ジャパンC(東京2400m)1着
2017 G2-アルゼンチン共和国杯(東京2400m)1着
2018 G2-金鯱賞(中京2000m)1着
2017 G3-共同通信杯(東京1800m)1着
2017 G1-東京優駿(東京2400m)2着
2018 G1-安田記念(東京1600m)3着
2018 G1-ジャパンC(東京2400m)3着
2019 G1-ドバイシーマクラシック(UAE/メイダン2410m)3着
2019 G1-宝塚記念(阪神2200m)3着
2016 G3-東スポ杯2歳S(東京1800m)2着
種付状況
JRA産駒成績
2023年度 JRAファーストシーズンリーディングサイアー
所感
二代母キャリアコレクションは北米で重賞2勝、G1-BCジュヴェナイルフィリーズ(USA)2着の活躍馬。母ピラミマは未勝利だが繁殖として優秀で、本馬の他にバンドワゴン(G3-きさらぎ賞 2着)など中央出走産駒10頭中8頭が勝ち上がり、内7頭が準OPクラス昇格を果たしている。本馬は父の7世代目産駒、母9歳時の5番仔にあたる。
『ハーツクライ×Seattle Slew』は、本馬の他にドウデュース・アドマイヤラクティ・カレンミロティックなどと共通するニックス。My CharmerのStriking=Busher3×3によって、父ハーツクライのパワーの源泉であるBupersを刺激し、弱点である緩さの解消を狙う配合だ。母ピラミマはNorthern Dancerクロスを持たず、その殆どがNasrullah≒Royal Chargerの多重クロスで固められた血統構成。産駒に『Nasrullah×Princequillo』血脈のしなやかストライドを良く伝えるが、早期時点での完成度は然して高い訳ではない。実際、本馬も春クラシックの頃は緩さが目立ち、父ハーツクライと同じく皐月賞は着外・東京優駿は2着惜敗とG1タイトルには手が届かず。古馬になって軌道に乗ると、4歳春の大阪杯では向正面からの大捲りで押し切りG1初制覇。安田記念・ジャパンC・ドバイシーマクラシック・宝塚記念でそれぞれ3着と、距離・コースを問わずG1格上位の脚力を発揮した。5歳秋のジャパンCでは重馬場の最内を突いて直線追い比べを制し、再度地力を証明。古馬になり息の長い活躍を見せた成長曲線と、ロングスパートの持続力勝負に長けた末脚は、いかにもハーツクライらしさ・トニービンらしさを感じさせるものだった。
Striking・Busher・Busanda(Bupersの母)は、いずれもWar Admiral×La Troienne。
初年度は種付頭数123頭・血統登録数82頭と中の上程度の人気だったが、2歳JRA出走62頭という驚異的な出走率(75.6%)を記録。勝ち上がり20頭・G1含む特別戦5勝という抜けた成績で、2023年度JRA新種牡馬リーディングを獲得した。自身の実績・配合からは考え難い産駒の仕上がりの早さは、母ピラミマないしはその母父Unbridled’s Songの早熟性が隔世遺伝されたのだろう。芝/ダート/短距離/中距離と条件を問わず、適性の幅広さとスピードの絶対値の高さは現役種牡馬でも屈指。
初年度産駒の活躍を受けた5世代目(2024年種付)は、種付料1,500万円(前年+1,300万円)・種付頭数150頭(前年+60頭)の大出世を遂げた。一方その間の推移を見ると、2~4世代については繁殖の質・量ともに不遇と言わざるを得ないラインナップ。しばらくは評価に結果が伴わないという可能性も否めず、POGや一口出資に於いては基本静観するのが吉か。2025年産からが勝負と見た。
自身は5代アウトブリードで、深堀りしてもHail to Reason4×7・Northern Dancer5×7程度。父ハーツクライや他のサンデーサイレンス直仔と同様に、Northern Dancerクロスの母を配して完成度を高めるのが鉄板配合となっている。特に父とも好相性を誇ったDanehill~Danzigは抜群で、現時点での重賞馬5頭中4頭が該当。これら4頭は併せてサンデーサイレンスのクロスを持つのも特徴で、剛に振り切るのではなく、剛柔のバランスを適度に保つのがポイントとなっている。
アーバンシック・レガレイラの産駒G1馬2頭は、母が全姉妹なので同血の関係にあたる。「ディープインパクト(サンデーサイレンス×ウインドインハーヘア)×Unbridled’s Song」のニックス再現を持つ点がポイント。自身がダービーで差し損ねたレイデオロもウインドインハーヘア牝系であり、『ライバルの血』を取り入れた配合と言えるだろう。Danzig直系としては異色のしなやかさを持つハービンジャー経由でニックスを取り入れていることもあってか、共に2歳時から素質を見せつつも完成自体はまだ先の印象。前者は牡馬の分か『Nasrullah×Hyperion』血脈的野太さが強く、一夏を越えて大きく成長し菊花賞制覇。後者は『Nasrullah×Princequillo』血脈的鋭敏なキレを武器に、線の細い牝馬ながらも牡馬クラシックで善戦した。同血でも表現された特徴は大きく異なり、その上で2頭ともに結果を残している点は、どことなくブラックタイド=ディープインパクト兄弟のエッセンスを感じる。