中京ダートはコーナーが鋭角かつ下りであり、中団以降の馬が3-4角から仕掛けると、大きく外に振られるロスが発生しやすい。G1ではフルゲート揃った一団の競馬になりやすいため、よりその傾向が顕著に表れる。大外8枠が0-0-0-15と馬券内すら一度も無いことは偶然ではないだろう。緩い3-4角から加速させて直線スピード勝負のフェブラリーSとは異なり、いかにして4角をロスなく回ってくるかのポジショニング・コーナリング勝負になるのがチャンピオンズCだと言える。
◎①グロリアムンディとする。母ベットーレはG3-カルロキエーザ賞(ITY)など伊で7勝を挙げたスプリンター。Kingmambo(Mr. Prospector×Nureyev)×RobertoやTry My Best≒Carillon Missらしい、馬力で捲る中距離馬だ。新馬戦の勝ち方が秀逸で、道中インベタから4角では大外まで切り返すというロスの多い競馬ながら、直線突き抜け完勝。非常に高いポテンシャルを感じさせるレースだった。以降皐月賞の本命候補として重い印を打ち続けていたのだが、中々勝ち切ることができずに3歳春は終了。その後ダートに矛先を変えると、怒涛の4連勝でOP制覇。続くアンタレスSでもオメガパフューム相手に半馬身差2着と健闘し、高いダート適性を発揮している。注目したいのは、過去ダートでの5戦は全て7枠という点だ。脚質的に決して有利とは言えない枠順を引きながら、毎回実にタイトなレース運びをしており、そのコーナリング性能の高さが窺える。今回は念願の最内1番枠を引き当て、過去最高のパフォーマンスを発揮できる条件が整った。
そして何より心強いのが鞍上R.ムーア。17年にゴールドドリームで同レースを制しているのだが、是非動画を見て頂きたい。4角同じポジションで外目から追い上げていくカフジテイク・ミツバとは対照的に、コーナーでは全く急かさず馬なり、そして直線を向いた瞬間から怒涛の追い込みで逃げ粘る3頭を差し切った。乗り慣れないコース・テン乗りの馬にも関わらず、与えられた条件で最適解を一発回答してみせるのが、世界最強ジョッキーたる所以だ。先週のジャパンCも、1-2角でのポジショニングと直線で空いたスペースを逃さない勝負勘は流石の一言で、「ムーアでなければ勝てなかったレース」だったと言い切りたい。
想定3番人気と、実績を考えれば鞍上による過剰人気感は否めない。それでも、新馬戦で見初めた素質馬が最高の枠順と最高の鞍上と共に、遂にG1の舞台に立つのだから、人気先行・後追い上等、自分の先見の明を信じて本命を打ちたい。
相手は〇⑫テーオーケインズ、▲⑩クラウンプライド、△⑬シャマル、△⑨ノットゥルノ、△⑦オーヴェルニュの順に推奨。上位人気が予想される⑤ジュンライトボルトは、過去POG指名馬でもあるように配合は高く評価しており、キングカメハメハ産駒・ダート転向で活躍と本命馬と重なる部分も多い。ただし、これはフェブラリーS向きのタイプだろう。前走の4角の捌きは、G1では通用しないと思う。