※各種データは2024.12.31現在に更新。
※特に断りのない限り、データ・画像はTARGET frontier JV・JBIS Searchより引用。
基本情報
繫養:社台スタリオンステーション(2018-)
生年:2012年 生産:ヤナガワ牧場
競走成績
JPN:20戦12勝
2016年度 JRA賞年度代表馬/最優秀4歳以上牡馬
2017年度 JRA賞年度代表馬/最優秀4歳以上牡馬
2015 G1-菊花賞(京都3000m)1着
2016 G1-天皇賞(春)(京都3000m)1着
2016 G1-ジャパンC(東京2400m)1着
2017 G1-大阪杯(阪神2000m)1着
2017 G1-天皇賞(春)(京都3000m)1着
2017 G1-天皇賞(秋)(東京2000m)1着
2017 G1-有馬記念(中山2500m)1着
2015 G2-スプリングS(中山1800m)1着
2015 G2-セントライト記念(中山2200m)1着
2016 G2-京都大賞典(京都2400m)1着
2016 G1-有馬記念(中山2500m)2着
2015 G1-皐月賞(中山2000m)3着
2015 G1-有馬記念(中山2500m)3着
2016 G1-宝塚記念(阪神2200m)3着
2017 G1-ジャパンC(東京2400m)3着
2016 G2-産経大阪杯(阪神2000m)2着
JRA産駒成績
世代別
年次別
所感
二代母オトメゴコロはCee’s Tizzy(Tiznowの父)の半妹で、JRA4勝のスプリンター。父母ともに北米産でありながら、Stafaralla=Sind6×6など重厚な欧州血脈のクロスを複数持つ点が趣深い。母シュガーハートは未出走も、繁殖としてはまずまず優秀。中央出走産駒7頭中3頭が勝ち上がり、ショウナンバッハ・エブリワンブラックと3頭全てが重賞好走実績を持つ。本馬は父の3世代目産駒、母7歳時の3番仔にあたる。
父Solario×母Mirawalaの全兄妹。
父ブラックタイドは22戦3勝、重賞タイトルはG2-スプリングSのみ。種牡馬としては二流・三流の競走成績しか持たず、日本近代競馬の結晶ディープインパクトの全兄という血統面での需要から、弟に続く形でスタッドインした。2頭の母であるウインドインハーヘアはFair Trial~Court Martial(Son-in-Law)・Gainsborough~HyperionといったBay Ronald的ステイヤー血脈が凝縮された配合で、G1-アラルポカル(GER)を制し、G1-英オークス(GB)2着・G1-ヨークシャーオークス(GB)3着。弟ディープインパクトはこのスタミナをベースとしつつ、Halo≒Sir Ivor的なしなやかさを最大の武器として一時代を築いたが、兄ブラックタイドは主としてこの持続力を素直に伝える種馬として細々と結果を残してきた。
本馬はLyphard4×4で父から受け継いだ持続力を累進。北米牝系や母父サクラバクシンオーのスピードを先行力に転化しており、自らペースメイクし後続を捻じ伏せる横綱競馬で天下を取った。ラストイヤーまで大きな怪我もなく第一線で戦い抜いたタフネスと成長力からは、Hyperionの影響力を感じ取ることができる。…と後から説明は出来るものの、デビュー以前血統表を見た時点で、これ程までの活躍を想像できた血統評論家は果たしているのだろうか。今の私には、『様々な要素が噛み合いに噛み合った結果の怪物』としか表現できない。
産駒は芝中距離を主戦場としながら、ダート・短距離・マイルなどのカテゴリでも上級馬を輩出。現段階でのJRA重賞馬は8頭中6頭が牡馬で、G1馬3頭はいずれも牡馬。牝馬偏差値を見ても、コルトサイアー傾向が強いと言える。これは父ブラックタイドにも見られたもので、直仔世代・孫世代ともに牝馬優勢であるディープインパクトのサイアーラインとの違いは興味深い。『牝馬的しなやかさ』のディープインパクトに対し、『牡馬的持続力』のブラックタイドということなのだろう。
500万円でスタートした種付料も一時は300万円まで低迷したが、初年度産駒イクイノックスの活躍により22年には初年度水準まで回復し、種付頭数もキャリアハイを更新。翌23年には種付料1,000万円の大台に到達、24年は更に倍の2,000万円で同年最高額(タイ)となった。既に後継種牡馬候補が続々誕生しており、今後は父祖として大きな影響力を持っていくことが予想される。
自身がステイヤーとして活躍したので、産駒の代ではまずスピードを補完することを最優先にするべきであり、その第一手となるのがHalo≒Sir Ivor。産駒G1馬3頭はいずれもこのパターンで、特にイクイノックス・クロワデュノールに見られるSir Ivor直接クロスは要注目。MachiavellianやOrpenなどの「Halo×Raise the Standard」血脈によって、シュヴァルグラン・サトノクラウン・サトノダイヤモンドといった現役時代の『ライバルの血』を取り込む形も趣深い。
Machiavellian(Coup de Folie)やOrpen(Bonita Francita)からスピードを補給。
また、産駒G1馬3頭はそれぞれ重厚な欧州血脈をベースにしている点にも注目したい。主だった共通する構成要素を挙げると、Nureyev≒Sadler’s Wells・トニービン~Hornbeam・Worden≒Le Fabuleux辺り。欧米のスピード・パワー・スタミナを満遍なく取り込む『強欲な配合』で最大打点を出しているとも言えるか。キングカメハメハ肌(Nureyev内包)も抜群のアベレージを誇り、ここでも『ライバルの血』(ドゥラメンテ)がもたらす影響を感じる。前項も踏まえ、ヴィクトワールピサ肌やそのままドゥラメンテ肌との配合から、今後大物が出るのではないかと期待。
Special血脈のクロスを持つ母との配合もハマっている。
ディープインパクト系種牡馬はStorm Cat・Unbridled’s Songといった二大北米スピード血統との組み合わせで活躍馬を輩出したが、現時点ではこれらとの配合から目ぼしい大物は出ていない。一方でクロフネ~フレンチデピュティのラインは、両者に共通して好相性。ただし馬力の方向に過剰に振れてしまうのか、距離適性が短い場合やダート馬になる場合が多く、芝中距離向きのオーソドックスな父産駒を求める場合は注意が必要。