2025年07月04日、キャロットクラブ2025年度募集予定馬リストが公開された。現時点で判明している情報から、気になる血統を持つ馬について紹介する。
※特に断りのない限り、データ・画像はTARGET frontier JV・JBIS Searchより引用。
【08/07】募集番号・募集額追記。3頭追記。
【08/19】所属厩舎・測尺(8月上旬)追記。
【08/26】実馬寸評追記。60.コハクトウの24追記。
【08/30】47.ヒルダズパッションの24追記。
参考記事:キャロットクラブ過去募集馬の人気を振り返る
https://note.com/chrono_gen/n/ne286f3cf559a
参考動画:2025年度募集世代注目種牡馬解説
08.ドナウデルタの24

父:エピファネイア 母父:ロードカナロア
生年月日:2024年01月19日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:堀宣行(美浦) 募集総額:5,000万円(一口125,000円)
体高:148.0㎝/胸囲:170.5㎝/管囲:19.9㎝/馬体重:433㎏
雑感:二代母ドナウブルーは関屋記念-G3など重賞2勝で、ジェンティルドンナ(JRA賞年度代表馬)の全姉。母ドナウデルタは信越S-LなどJRA6勝。「エピファネイア×キングカメハメハ」はデアリングタクト・ステレンボッシュ・イズジョーノキセキと共通。父長距離×母マイルで好バランス。胴長背ったれで締まりのない馬体に、前後躯の連動を欠いたバラバラの歩様。早生まれにしては全てに於いて幼さが目立つ。堀師が引き受けた以上、勝算はあるのだろうが……。芝マイル。
19.エリスライトの24

父:レイデオロ 母父:ディープインパクト
生年月日:2024年04月02日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:斎藤誠(美浦) 募集総額:4,000万円(一口100,000円)
体高:152.0㎝/胸囲:172.5㎝/管囲:20.8㎝/馬体重:425㎏
雑感:二代母クリソプレーズはアロンダイト(JRA賞最優秀ダート馬)の全姉。母エリスライトはJRA2勝で、マリアライト(JRA賞最優秀古牝馬)の全妹、クリソライト(ジャパンダートダービー-Jpn1 他)・リアファル(神戸新聞杯-G2 他)・クリソベリル(JRA賞最優秀ダート馬)の半妹。「レイデオロ×ディープインパクト」はアンチニックスだが、NF産牡馬に限れば、JRA出走勝馬率75.0%(3/4・現3歳以上)と高打率。加えて該当勝馬3頭の母はいずれもNureyev≒Sadler’s Wellsを持つ欧州型の配合で、アウトラインは本馬と共通する。キングカメハメハ父系の半兄2頭が勝ち上がっているのも強調材料。薄手の造りで字面通りのTT仕様。変に当たるところが無く歩けている印象で、Kingmambo・ウインドインハーヘアの各クロスが絶妙にハマったか。芝長距離。
21.ボージェストの24

父:ドレフォン 母父:キングカメハメハ
生年月日:2024年03月21日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:田村康仁(美浦) 募集総額:4,000万円(一口100,000円)
体高:152.5㎝/胸囲:176.0㎝/管囲:20.0㎝/馬体重:449㎏
雑感:二代母アドマイヤグルーヴはエリザベス女王杯-JPN1など重賞5勝のJRA賞最優秀古牝馬で、ルーラーシップ(QエリザベスII世C-G1 他)・フォゲッタブル(ステイヤーズS-G2 他)・グルヴェイグ(マーメイドS-G3)の半姉。母ボージェストはJRA2勝で、ドゥラメンテ(JRA賞最優秀3歳牡馬)の全妹。本馬はボーデン(スプリングS-G2 3着)・ソネットフレーズ(デイリー杯2歳S-G2 2着)の半弟、近親ミッキーファイト(帝王賞-Jpn1 他)とは3/4同血、デシエルト(中日新聞杯-G3 他)とは同血にあたる。「ドレフォン×キングカメハメハ」はジオグリフと共通。筋量豊富でガニ股、起繋で両前とも怪しい脚付。馬体から感じる印象としては、字面よりも芝適性は無さそう。ダートマイル~中距離。
42.エルカスティージョの24

父:ポエティックフレア 母父:ロードカナロア
生年月日:2024年01月18日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:大和田成(美浦) 募集総額:4,000万円(一口100,000円)
体高:156.5㎝/胸囲:173.5㎝/管囲:20.5㎝/馬体重:422㎏
雑感:二代母エルミラドールはフサイチホウオー(東スポ杯2歳S-JPN3 他)・トールポピー(JRA賞最優秀2歳牝馬)・アヴェンチュラ(JRA賞最優秀3歳牝馬)の全妹。母エルカスティージョはJRA4勝。「ポエティックフレア×ロードカナロア」はRoyal Academy(ロイヤルアカデミーII)≒Storm Cat・Majestic Prince≒Kingmamboと2つのニアリークロスを内包するニックス候補。父産駒らしく横見の見栄えは良く、動きもまずまず。見た目に反して馬体重が伴わず、悪い意味での初仔らしさがある。芝マイル。
43.ベルディーヴァの24

父:マインドユアビスケッツ 母父:ダイワメジャー
生年月日:2024年04月29日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:浅利英明(美浦) 募集総額:3,000万円(一口75,000円)
体高:156.0㎝/胸囲:175.0㎝/管囲:19.6㎝/馬体重:430㎏
雑感:企画推奨馬。二代母ハルーワソングはMezzo Soprano(ヴェルメイユ賞-G1/FR)の半姉。母ベルディーヴァはJRA3勝で、マーティンボロ(新潟記念-G3 他)・フレールジャック(ラジオNIKKEI賞-G3)の半妹。「マインドユアビスケッツ×ダイワメジャー」はマルカラピッドと共通。Rahy=Morn of Song4×3が粋。今世代の父産駒は新種牡馬リーディング獲得後の当たり年。幼さ故か歩様に嫌な硬さが無く、芝でも面白いかも。なんにせよ成長待ち。芝ダート兼用マイル。
46.マラクージャの24

父:Not This Time 母父:Honor Code
生年月日:2024年01月10日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:木村哲也(美浦) 募集総額:5,000万円(一口125,000円)
体高:157.0㎝/胸囲:173.0㎝/管囲:19.5㎝/馬体重:473㎏
雑感:二代母Patti’s Regal SongはRegally Appealing(アディロンダックS-G2/USA)の半妹。母マラクージャはCCAオークス-G1/USAなど北米3勝。父Not This TimeはLiam’s Mapの半弟という良血で、BCジュヴェナイル-G1/USA 2着を最後に、2歳で現役引退・種牡馬入り。初年度・2世代目産駒からG1馬を多数輩出し、種付料は初年度$15,000から10倍を超える$175,000(25年)まで急騰している。「Not This Time×Blushing Groom」はUp to the Mark・Epicenterなど産駒G1馬7頭中5頭と共通し、他にも重賞馬を多数送り出すニックス。Liam’s Mapを再現する「Unbridled’s Song×Miss Macy Sue」によるTawee≒Charedi(5×6)×6も良い。初仔の牝馬ながらサイズ感に恵まれたが、この手術歴の多さは非常に残念。目に見えない体質リスクを許容できるなら。ダートマイル。
47.ヒルダズパッションの24

父:キタサンブラック 母父:Canadian Frontier
生年月日:2024年01月26日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:福永祐一(栗東) 募集総額:1億円(一口250,000円)
体高:162.0㎝/胸囲:176.5㎝/管囲:20.5㎝/馬体重:484㎏
雑感:母ヒルダズパッションはバレリーナS-G1/USAなど重賞5勝。本馬はヨシダ(ウッドウォードS-G1/USA 他)・サンクテュエール(シンザン記念-G3 他)の半弟にあたる。「キタサンブラック×El Prado」はリンクスティップ・ライトトラックと共通。また「キタサンブラック×母Specialクロス持ち」は前述2頭に加えて、ジャスティンスカイ=サトノカルナバル・コナコーストと共通し高打率。父長距離×母短距離で好バランス。母は米血主体だが、Secrettame≒Sir Ivor・Nureyev≒Sadler’s Wellsなど父産駒活躍馬のキー血脈を押さえた配合。胴長で上背もあるが、生月・測尺の感覚よりも薄く見え、fpsを上げたかと錯覚するようなヌルヌル滑らかな歩様。スピード不足の可能性はあるが、父産駒の当たりパターンに見える。芝中長距離。
48.マルシュロレーヌの24

父:キタサンブラック 母父:オルフェーヴル
生年月日:2024年03月31日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:矢作芳人(栗東) 募集総額:1億6,000万円(一口400,000円)
体高:157.0㎝/胸囲:181.0㎝/管囲:21.3㎝/馬体重:477㎏
雑感:母マルシュロレーヌはBCディスタフ-G1/USAなど交流含む重賞5勝のNAR特別表彰馬で、バーデンヴァイラー(佐賀記念-Jpn3)の半姉。近親ラヴェル(チャレンジC-G3 他)とは15/16同血の関係にあたる。「キタサンブラック×ダンシングブレーヴ」はイクイノックスと、「キタサンブラック×フレンチデピュティ」はウィルソンテソーロ・ガイアフォースと共通。競走能力の高い父母相似配合。悪い馬ではないが、現状値段に見合うほど抜群かと言われると……。しなやかさに欠ける分、適性は母寄りになりそう。芝ダート兼用マイル~中距離。
56.リスグラシューの24

父:サートゥルナーリア 母父:ハーツクライ
生年月日:2024年04月01日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:矢作芳人(栗東) 募集総額:8,000万円(一口200,000円)
体高:156.0㎝/胸囲:180.0㎝/管囲:19.8㎝/馬体重:451㎏
雑感:企画推奨馬。二代母リリサイドは仏1000ギニー-G1 1位入線(6着降着)。母リスグラシューは有馬記念-G1などG1競走4勝含む重賞6勝のJRA賞年度代表馬。「サートゥルナーリア×ハーツクライ」はファンダム・コートアリシアンと共通し、コスタノヴァ・Tagaloaなど、その父ロードカナロアから継続するニックス。競走能力の高い父母相似配合。父産駒らしいコロンとしたマイラー体型。前肢からは母父のエッセンスを強く感じ、Nureyev≒Sadler’s Wells(5×4)×5の影響か捌きは硬い。芝中長距離。
58.ヤングスターの24

父:コントレイル 母父:High Chaparral
生年月日:2024年02月19日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:安田翔伍(栗東) 募集総額:7,000万円(一口175,000円)
体高:154.5㎝/胸囲:171.0㎝/管囲:18.8㎝/馬体重:388㎏
雑感:二代母StarspangledはDowntown(ギヴサンクスS-G3/IRE)の全姉。母ヤングスターはBRCクイーンズランドオークス-G1/AUSなど重賞2勝で、ファンスター(ATCフライトS-G1/AUS 他)の半姉。本馬はエリキング(京都2歳S-G3)の半妹にあたる。「コントレイル×Danzig」は現時点での勝ち上がり産駒5頭中3頭と共通。本馬と同じ母豪州産からも勝馬が出ている。Northern Dancer3×4・Shirley Heights4×4の母に五代アウトブリードの父を配して、自身も五代アウト。欧風に揺り戻した父産駒らしく、しなやかさを感じさせる動き。あとは生月に反して幼さの残る小柄な馬格をどう捉えるか。芝マイル~中距離。因みに同クラブ所属軽量ディープG1馬の募集時測尺と新馬戦時馬体重は以下の通り。
レイパパレ(01/28生) 155.0㎝/169.0㎝/19.2㎝/420㎏→416㎏(3歳1月)
シンハライト(04/11生) 152.5㎝/170.0㎝/19.8㎝/411㎏→430㎏(2歳10月)
マリアライト(02/19生) 156.0㎝/174.5㎝/19.2㎝/414㎏→420㎏(3歳1月)
59.メサルティムの24

父:スワーヴリチャード 母父:ディープブリランテ
生年月日:2024年02月19日 生産:白老ファーム
所属厩舎:武幸四郎(栗東) 募集総額:5,000万円(一口125,000円)
体高:156.0㎝/胸囲:171.0㎝/管囲:20.6㎝/馬体重:440㎏
雑感:母メサルティムはJRA3勝。「スワーヴリチャード×ウインドインハーヘア」はレガレイラ=アーバンシックと共通。「ディープインパクト×Storm Cat×Unbridled’s Song」のニックスを再現する形で、同パターンのカイショーは新馬戦をレコード勝利。初仔としては悪くないサイズ感と歩様。コンフォメーションにも大きな瑕疵は無く、堅実に走りそう。芝マイル。
60.コハクトウの24

父:ナダル 母父:ルーラーシップ
生年月日:2024年05月15日 生産:丸村村下ファーム
所属厩舎:奥村豊(栗東) 募集総額:5,000万円(一口125,000円)
体高:152.0㎝/胸囲:174.5㎝/管囲:20.4㎝/馬体重:430㎏
雑感:2025年セレクションセールにて3,600万円(税抜)で落札。二代母マルカキャンディは府中牝馬S-JPN3制覇。母コハクトウはベルシャザール(JRA賞最優秀ダートホース)の半妹。「ナダル×キングカメハメハ」はクレーキングと共通し高打率。Nasrullah×Princequillo血脈とFlower Bowl≒Your Hostessをそれぞれ継続し、父母の強みを真っ直ぐ伸ばしている。本馬と同様にNFがセリで購買した他場生産のナダル産駒は、バギーウィップ・クァンタムウェーブの2頭が同クラブで募集され、共に3歳夏現時点で準OPクラスまで昇格。遅生まれらしい未完成な馬体だが、動き自体は現時点でも中々のもの。1次募集に無理矢理捻じ込んだ分か、落札額からの上乗せは気持ち少な目でお値打ち感すらある(決して安くはないが)。ダートマイル~中距離。
62.レシステンシアの24

父:モーリス 母父:ダイワメジャー
生年月日:2024年03月11日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:松下武士(栗東) 募集総額:8,000万円(一口200,000円)
体高:153.0㎝/胸囲:176.5㎝/管囲:19.8㎝/馬体重:446㎏
雑感:二代母マラコスタムブラダはフィルベルトレレナ大賞典-G1/ARGなど重賞2勝。母レシステンシアは阪神JF-G1など重賞4勝のJRA賞最優秀2歳牝馬で、グラティアス(京成杯-G3)の半姉。「モーリス×Francis S.」はジャックドール・ピクシーナイト・ダノンマッキンリー・ラーグルフと共通。競走能力の高い父母相似配合。良くも悪くも両親の特徴を引き継いだ感が強い、パワーピッチ型。芝短距離~マイル。
81.アルドゥエンナの24

父:ルーラーシップ 母父:スクリーンヒーロー
生年月日:2024年02月05日 生産:ノーザンファーム
所属厩舎:中村直也(栗東) 募集総額:3,200万円(一口80,000円)
体高:151.0㎝/胸囲:174.5㎝/管囲:20.7㎝/馬体重:445㎏
雑感:企画推奨馬。二代母ロザリンドはエピファネイア(ジャパンC-G1 他)の全妹、サートゥルナーリア(JRA賞最優秀3歳牡馬)・リオンディーズ(JRA賞最優秀2歳牡馬)の半姉。母アルドゥエンナはオーソリティ(アルゼンチン共和国杯-G2 他)の半妹。前述の近親サートゥルナーリア・リオンディーズと共通する「キングカメハメハ×シーザリオ」と、デアリングタクト・ステレンボッシュ・イズジョーノキセキと共通する「エピファネイア×キングカメハメハ」のニックスを再現。因みにシーザリオ牝系の牡馬はJRA出走勝馬率100.0%(11/11)、内9頭が2勝以上という異次元の成績を誇る。小柄な母の初仔ながら水準以上のサイズ感だが、起繋は少し気になる。全身を大きく使ったリズムの良い歩様に好印象。芝中長距離。