※各種データは2025.02.16現在に更新。
※特に断りのない限り、データ・画像はTARGET frontier JV・JBIS Searchより引用。
基本情報
繫養:社台スタリオンステーション(2019-2023)
→ブリーダーズ・スタリオン・ステーション(2024-)
生年:2012年 生産:ノーザンファーム
競走成績
JPN:15戦3勝 UAE:2戦1勝
2016 G1-ドバイターフ(UAE/メイダン1800m)1着
2017 G2-毎日王冠(東京1800m)1着
2015 G3-共同通信杯(東京1800m)1着
2015 G1-皐月賞(中山2000m)2着
2015 G1-菊花賞(京都3000m)2着
2016 G1-天皇賞(秋)(東京2000m)2着
2018 G1-ドバイターフ(UAE/メイダン1800m)3着
2015 G2-スプリングS(中山1800m)2着
2015 G2-神戸新聞杯(阪神2400m)2着
2016 G2-中山記念(中山1800m)3着
JRA産駒成績
世代別

年次別

所感
三代母Miesqueは英・仏1000ギニーやBCマイル連覇などG1競走10勝を挙げ、エクリプス賞最優秀芝牝馬を2年連続受賞。繁殖としてもKingmambo(仏2000ギニーなどG1・3勝)やEast of the Moon(仏二冠牝馬)を輩出した歴史的名牝である。二代母MonevassiaはKingmamboの全妹。母ラヴズオンリーミーはRumplestiltskin(G1-マルセルブサック賞 他)の半妹で、中央出走産駒11頭中9頭が勝ち上がり・本馬を含む5頭がOP入りと、一族の例に漏れない名繁殖。全妹ラヴズオンリーユーは優駿牝馬(JPN)・BCフィリー&メアターフ(USA)・香港C/クイーンエリザベスⅡ世C(HKG)と三ヶ国でG1を4勝、JRA賞最優秀古牝馬を受賞した。本馬は父の5世代目産駒、母6歳時の3番仔にあたる。

「ディープインパクト×母父Storm Cat」は、本馬や全妹の他にキズナなどG1馬9頭を輩出した黄金配合で、Sir Ivor≒Terlinguaによって「Nasrullah×Princequillo」血脈のしなやかさを最大限に引き出す。全妹はこの配合通りの真っ当なストレッチランナーだったが、本馬はどちらかと言えば牝系由来の頑健パワーマイラー的資質が強く発現したピッチ寄りの走法で、機動力と加速の良さを武器に活躍した。キングカメハメハがコルトサイアーだったように、Kingmambo(=Monevassia)的要素は牡馬の方が表現されやすいということなのだろう。ハイレベルな15年クラシック世代で皐月賞2着→東京優駿4着→菊花賞2着と善戦し、翌4歳のドバイターフでG1初制覇。全4勝はいずれも芝1800mで挙げており、本邦では帯に短し襷に長しな距離適性に悩まされた印象が強い。

6歳時の安田記念(15着)後、怪我により引退が決定。獲得タイトルの少なさもあってか、初年度種付料200万円という比較的低価でのスタッドインとなる。産駒デビュー初年度から2歳重賞を制し、JRAファーストシーズンサイアーランキングでも2位と健闘したが、近い世代の有力新種牡馬と比較するとなんとも言えない数字に終わった。本来掻き入れ時の供用5シーズン目(23年)が低調な頭数に終わったこともあり、翌24年より繋養先移動(社台SS→ブリーダーズSS)が決定する。その一方で、23年末に2世代目産駒フォーエバーヤングが圧巻のパフォーマンスで全日本2歳優駿を制覇し、翌年は世界を舞台に大活躍。これによりノーザンファームを中心に再評価の流れとなり、24年は供用6シーズン目にして種付頭数キャリアハイを更新した。25年の種付料は同スタリオン最高額の500万円となっており、一躍人気種牡馬の仲間入りを果たしている。
芝ダート問わず、距離もある程度融通が利く万能型種牡馬。ディープインパクトらしさより牝系の色を強く遺伝しており、立ち肩で前裁きの硬い産駒が多く、コンフォメーション通り道悪は得意。産駒に関しても自身と同様に1800mの勝鞍が抜けて多いのには笑ってしまった。
出世頭フォーエバーヤングをはじめ、A.P. Indyとの組み合わせは好相性。同じ配合アウトラインの先輩種牡馬であるキズナと同じく、ディープインパクト×Storm Cat≒良質な『Nasrullah×Princequillo×Tom Fool』血脈の累進によって、しなやかさや軽快なスピードの要素を表面化させることが重要だと考えられる。特殊な例ではあるが、レーベンスティールも母父トウカイテイオーから異系のしなやかさを取り込んだパターンだろう。逆に、初期に注目を集めたMonevassia=Kingmamboの同血クロスは、重賞馬こそ出しているものの現状イマイチ弾け切らない印象。自身の長所を更に強調する配合よりも、自身の短所を補う配合がハマっていると言える。



Storm Catの直接クロスはアベレージは出ないものの、チカッパなど打点の高さはまずまず。ハナからダート路線を狙うのであれば、そこまで嫌う必要は無いか。Hennessyのラインとの配合がやたらと好成績なのはキズナにも見られた傾向で、ここは考察の余地がありそうだ。

