種牡馬ゴールドシップを考える【2025年最新版】

※各種データは2025.01.26現在に更新。

※特に断りのない限り、データ・画像はTARGET frontier JV・JBIS Searchより引用。

基本情報

繫養:ビッグレッドファーム(2016-)

生年:2009年 生産:出口牧場

競走成績

JPN:27戦13勝 FR:1戦0勝

2012年度 JRA賞最優秀3歳牡馬

2012 G1-皐月賞(中山2000m)1着

2012 G1-菊花賞(京都3000m)1着

2012 G1-有馬記念(中山2500m)1着

2013 G1-宝塚記念(阪神2200m)1着

2014 G1-宝塚記念(阪神2200m)1着

2015 G1-天皇賞(春)(京都3200m)1着

2012 G2-神戸新聞杯(阪神2400m)1着

2013 G2-阪神大賞典(阪神3000m)1着

2014 G2-阪神大賞典(阪神3000m)1着

2015 G2-阪神大賞典(阪神3000m)1着

2012 G3-共同通信杯(東京1800m)1着

2013 G1-有馬記念(中山2500m)3着

2014 G1-有馬記念(中山2500m)3着

2014 G2-札幌記念(札幌2000m)2着

2011 G3-札幌2歳S(札幌1800m)2着

2011 G3-ラジオNIKKEI杯2歳S(阪神2000m)2着

JRA産駒成績

世代別

年次別

所感

 母ポイントフラッグは中央1勝だが、G3-チューリップ賞 2着などクラシック路線で活躍。繁殖としてもまずまず優秀で、中央出走産駒9頭中6頭が勝ち上がり、本馬を含む4頭が2勝以上を挙げている。本馬は父の7世代目産駒、母11歳時の5番仔にあたる。

 「ステイゴールド×メジロマックイーン」はオルフェーヴル=ドリームジャーニー・フェイトフルウォーなどと共通し、一斉を風靡した所謂『黄金配合』。この配合の成功要因について、世論では『馬格・気性面・体質面の相互補完』などの説が有力だが、血統表のみからアプローチすると正直なんとも言えないところではある。この配合の活躍馬の殆どは、血統票の残る1/4(二代母)にノーザンテースト・The Minstrel・Nijinsky・Vice RegentといったE.P. Taylor血脈を抱えている。個人的には、『中距離×ステイヤー』『柔×柔』のアンバランスさを加NDパワーで締め上げてはじめて完成する配合だったのではないか、現代で言うところの「エピファネイア×ディープインパクト」なのではないかと睨んでいる(詳しくは過去記事参照)。本馬に於いては、ノーザンテースト≒The Minstrel4×4がそれに該当。Princely Gift5×5になる分、緩慢なストライドの要素が強く表現されており、高速ピッチのジャーニー=オルフェとは資質が大きく異なる。向正面からの超ロングスパートで末脚をズブズブ伸ばし、強烈な個性で一時代を築いた『だから』の名馬と表現したい。

 現時点での産駒重賞勝鞍はいずれも芝1800m以上で、自身のストロングポイントを強力に遺伝する自己主張型の種牡馬。末脚の上限値が低い点もよく似ており、ローカル・小回り・洋芝・直線平坦コースといった非主流条件が主戦場となっている。コルトサイアーの代名詞である父ステイゴールドと異なり、強いフィリーサイアー傾向が見られる点はオルフェーヴルとも共通する。

 ロージズインメイ肌との配合は、現時点で唯一のG1馬であるユーバーレーベンやコガネノソラなど、オープン馬を多数輩出する言わずと知れたニックス。自身最大の弱点であった俊敏性の無さをHaloクロスで補う形だが、その最たる相手が同繋養先の自己主張の薄い先輩というのがなんとも趣深い。

 前述のE.P. Taylor血脈を更に取り入れる形も有効。そもそも自身の配合アウトラインからして基礎スピードに難があるため、雑に北米血脈と組み合わせるだけで一定の結果が見込めるようだ。特にフレンチデピュティ~Vice Regentは打率・長打力ともに優秀。

 最後に、どうしても触れておきたいのが『Dulcimer≒Nuit de Folies』のニアリークロス(Swynford・Asterus・Dorinaなどが共通)。Dulcimerは母Dulceが仏1000ギニー2着。ディクタスの三代母として、主にステイゴールドを通じて現代競馬にその血を残している。Nuit de Foliesは母Folle Nuitがヴェルメイユ賞勝馬で、自身も同競走2着。産駒Speak Johnを通じてその血を拡散しているが、本邦に於けるこの血を持つ馬の例として挙げられるのが、何を隠そうロージズインメイ(母父)とフレンチデピュティ(母父の父)である。ステイゴールド後継ゴールドシップとこれら二血脈との相性の良さの裏には、仏の名牝を通じるニアリークロスが暗躍しているのではないかと思われる。余談だが、トキオリアリティー三傑(インディチャンプ・ネオリアリズム・リアルインパクト)や、「キタサンブラック×フレンチデピュティ」「ディープインパクト×フレンチデピュティ」のニックス(特にショウナンパンドラ)も、このニアリークロスの応用パターンと言えるだろう。是非血統表を深掘りしていただきたい。

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