実は私はグランアレグリアに本命を打ったことが一度もない。新馬戦すら◎ダノンファンタジーである。過去には散々痛い思いをさせられ、今ではタイキシャトル・モーリスを抑えて『歴代最強マイラー』の評価を与える名牝のラストラン。かと言って、ここで本命を打つのは余りに無粋ではないだろうか。アーモンドアイにも最後まで本命を打たなかったように、この馬に対しても最後まで本命は打たないべきだ。それが仁義だ、それが筋を通すということなのだ…と私は思う。
◎シュネルマイスターとする。独Sライン。母セリエンホルデは独GⅠオークス(T11F)制覇。父Kingmanは現役時代8戦7勝、愛GⅠ2000ギニー(T8F)などGⅠ4連勝でカルティエ賞年度代表馬となった名マイラー。Kingman×Krisは勝馬率100.0%(4頭/4頭)。マイラー×中距離のバランスに加え、二代母Saldenehreの部分のみNorthernDancerを引かない「4分の3ND・4分の1異系」。現役屈指の好配合が光る、重厚感のある本格派長めマイラー。本馬は高速府中での好走が目立つが、それは圧倒的素質の為せる技であり、配合の本質は重厚な欧血による消耗戦での我慢比べにある。現在の阪神芝は6回開催に向けてコースを替えられないことが災いし、近年稀に見る極悪コンディション。母系を米血で固めた稀代の快速マイラーとの対決は、こちらに地の利がある。まして相手は脚元の状態によるローテーション変更、中2週での急仕上げと万全の状態とは言い難い。
「完成の域に達しないことは認めるが、若い人馬の未来を買いたい」として本命を打った安田記念。一夏を越え、誰もがその実力を認めるまでに成長したが、これで完成ではない。歴代最強マイラーに引導を渡すのは、成長を続けるこの人馬であってほしい。