募集馬情報
父:レイデオロ 母:アドヴェントス 母父:ジャングルポケット
生年月日:2021年1月21日 生産:社台コーポレーション白老ファーム
所属予定:斉藤崇史厩舎(栗東) 募集総額:5,000万円(一口125,000円)
父レイデオロについて
競走実績
通算成績17戦7勝(JPN2000-2400m)。2017年度最優秀3歳牡馬、2018年度最優秀4歳以上牡馬。2歳10月の新馬戦・葉牡丹賞・G2-ホープフルSと、デビューから無傷の3連勝で重賞初制覇。当時としては珍しい、休養からの直行ローテーションで臨んだG1-皐月賞では、追い込み届かず5着。迎えた本番G1-東京優駿では、スローペースの向正面で後方から一気にポジションを押し上げると、そのまま後続の追撃を凌ぎ切り、世代の頂点に立った。3歳秋初戦のG2-神戸新聞杯で1番人気に応え重賞3勝目を挙げると、次走には対古馬となるG1-ジャパンCを選択。同年の年度代表馬キタサンブラックにクビ差先着の2着と地力を証明した。4歳秋にはG2-オールカマー、G1-天皇賞(秋)を連勝し、G1-有馬記念でも2着と健闘。日本競馬王道路線の最前線で活躍を続けてきた。
血統・配合
三代母ウインドインハーヘア/Wind In Her HairはG1-アラルポカル(GER)を制し、G1-英オークス(GB)2着・G1-ヨークシャーオークス(GB)3着の名牝。直仔であるブラックタイド・ディープインパクト兄弟を始め、今なお本邦で活躍馬を輩出し続ける、現代日本競馬最重要牝系の祖である。全弟レイエンダはG3-エプソムC制覇。本馬は父の9世代目産駒、母8歳時の2番仔にあたる。
「キングカメハメハ×シンボリクリスエス」というアウトラインからはダート志向な力馬の印象を受けるが、牝系由来のしなやかさ、Seeking the Goldを掛け合わせたBuckpasser(~Tom Fool≒Attica)の機動力も強く発現した。どんな条件にも対応し、自在な脚質で安定した走りを見せる、オールラウンドな中距離馬の理想型と言える。
種牡馬実績・世代評価
2020年より社台スタリオンステーションにて供用開始。21年産駒は初年度産駒にあたり、当時種付料は600万円。「ディープインパクトの近親でサンデーサイレンスを持たないキングカメハメハ産駒のダービー馬」という分かりやすいセールスポイントから、種付頭数・繁殖質は常に高水準。「社台のブリックスアンドモルタル・ノーザンのレイデオロ」として、ファーストシーズンリーディングサイアー獲得への期待を一身に背負う。
母アドヴェントスについて
競走実績
通算成績14戦3勝(JPN1800-2000m)。3歳5月の未勝利戦でデビュー勝ち。安定した末脚を発揮し、降級含め500万条件を2勝。1000万条件でも上位争いを演じた。
血統・配合
牝祖MadeliaはG1-仏1000ギニー(FR)・G1-仏オークス(FR)を制した、仏最優秀3歳牝馬。トールポピー(JRA最優秀2歳牝馬・Jpn1-優駿牝馬・Jpn1-阪神JF)、アヴェンチュラ(JRA最優秀3歳牝馬・G1-秋華賞 他)、フサイチホウオー(Jpn3-共同通信杯 他)の全妹で、近親にヴェラアズール(G1-ジャパンC 他)など。本馬は父の10世代目産駒、母18歳時の11番仔にあたる。
繁殖実績
生年 | 馬名 | 性別 | 種牡馬 | 成績(執筆時点) |
2020 | ラトレイア | 牝 | ミッキーアイル | 未勝利 |
出走産駒勝馬率0.0%(0/1)。21年産駒は母8歳時の2番仔にあたる。
本馬アドヴェントスの21について
ニックス
「キングカメハメハ系×Sex Appeal」はアーモンドアイ(by ロードカナロア)・リバティアイランド(by ドゥラメンテ)・グロリアムンディ(by キングカメハメハ)・ヴァルディゼール(by ロードカナロア)・シーズンリッチ(by ドゥラメンテ)・ツルマルワンピース(by キングカメハメハ/ブラストワンピースの母)と共通し、勝馬率47.9%(69/144)、平均本賞金額2,367万円。キングカメハメハが持つTry My Bestを経由した名牝クロスが発生することにより、馬力や底力が増幅される。初年度産駒であるため当然実績は無いが、筋としてレイデオロ産駒にもこのニックスが適合する可能性は非常に高い。
アウトライン・総評
サンデーサイレンスを持たずMr. Prospector3×4を持つ父に対して、サンデーサイレンスを内包しMr. Prospectorを持たない母との配合は非常にバランスが良い。前述のニックスに加え、Nureyev5×4やBuckpasser(6×7)×6、Hornbeam7×5とキングカメハメハの重要血脈を幅広く増幅。Northern Dancerが濃いのは否めないものの、Hyperion色の強い配合型は個人的に好感が持てる。近年はナリを潜めていたかに思われたアドマイヤサンデー牝系だが、近い世代からはヴェラアズール(by エイシンフラッシュ)やエルカスティージョ(by ロードカナロア)といった大物を輩出。共に本馬と同じKingmambo系種牡馬との配合という点も心強い。
現状の馬体重・管囲も減点材料は無く、各パーツゆとりある形で動きも問題なし。コメントほど早期から動けるタイプではないと思うが、時間を掛けて父同様弱点の少ない芝中距離馬に仕上がってくるだろう。OP級以上の活躍≒募集額+維持費のペイは充分可能と見た。
預託予定の斉藤崇師は栗東若手の有望株。ノーザンファーム出身ということもありクラブからの信頼も厚く、特にキャロットクラブとは勝馬率81.3%(13/16)、キラーアビリティ・バーデンヴァイラー・ノーヴァレンダで重賞制覇と抜群の相性を誇る。前述のエルカスティージョも同師の管理馬だ。
本馬は両飛節OCD手術歴(22/08/01)を持つ。早期段階での処置が行われていれば、術後の競走能力に影響は無いというのが通説であり、個人的にも敬遠する材料ではない。ただし、この牝系は馬格に恵まれながら(恵まれるからこそ)ガラスの脚元というタイプが多く、その点は留意しておく必要がある。
クラブ初のダービー馬として大々的にプロモーションされると思われたが、7月の募集予定発表では僅か2頭、最終的にセール落札馬を合わせて4頭の募集となったレイデオロ産駒。本来であれば本馬もヒストリックスター・マリアライトと並ぶクラブ看板牝系との配合として、募集予定に上がっていたのではないだろうか。そんなことも頭の片隅に置きつつ、本馬の活躍に期待したい。