自称血統研究家の牝馬クラシック番付2023

 昨年阪神JF前にシオノゴハン氏のブログで公開した2歳牝馬番付は以下の通り。

 https://www.saltedrice90.online/2023classic_guess_filly/

馬名発表後成績
リバティアイランド G1-阪神JF 1着
ラヴェル G1-阪神JF 11着
ウンブライル G1-阪神JF 15着 → G3-クイーンC 6着
マラキナイア ひいらぎ賞 6着 → G2-チューリップ賞 9着
モリアーナ G1-阪神JF 12着 → G3-クイーンC 3着
ライトクオンタム G3-シンザン記念 1着
ビヨンドザヴァレー 出走無し

 『能力的には明らかに抜けた存在』と最も高く評価したリバティアイランドが阪神JF、押さえに挙げたライトクオンタムがシンザン記念を制覇。とはいえ他の5頭に関しては、ここまで結果が揮わなかったのも事実。年明け以降の新興勢力のパフォーマンスも踏まえ、桜花賞・優駿牝馬に向けて3歳牝馬について考察する。

牝馬クラシック出走賞金ボーダー

開催年桜花賞
(万円)
優駿牝馬
(万円)
20131,150900
2014900900
20151,1001,100
2016900900
2017900400
20181,100400
20191,600900
20201,100900
20211,000900
2022400900

 過去の出走賞金ボーダー(優先出走権取得馬を除く出走馬の最低収得賞金額)からは、桜花賞≧優駿牝馬という傾向が見られる。開催の順番を考えれば優駿牝馬の方が高くなりそうなものだが、この逆転現象が起こる理由は牝馬クラシック路線の施行条件に求められる。

 桜花賞以前に施行される牝馬限定重賞は8Rあるが、内7Rは芝1600m以下で行われており、この条件に当てはまらないのはフラワーC(芝1800m)のみ。つまり、桜花賞以前の牝馬クラシック路線はマイル以下を中心に施行されており、桜花賞(芝1600m)にはこれまでに実績を積んできたマイラー牝馬が順当に駒を進めてくることになる。

 一方優駿牝馬は、それまでの牝馬クラシック路線の施行条件と大きく異なる芝2400mで行われる。また、その前週に行われる3歳限定G1のNHKマイルCは芝1600mで施行され、更に両者の1着賞金は優駿牝馬15,000万円・NHKマイルC13,000万円(2023年)と大きな差が無い。そのため、これまでに賞金を積んできたマイラー牝馬が適性に合わせてNHKマイルCを選択するケースは多く、結果として優駿牝馬の出走賞金ボーダーは高くなりにくくなっている。

 収得賞金は、出走条件のみならず好走条件としても注目する必要がある。過去10年の複勝圏内好走馬の内、収得賞金900万円(未勝利クラス+1勝クラス)以下の馬は、ビッシュ(16年優駿牝馬3着・900万円)とハギノピリナ(21年優駿牝馬3着・900万円)の2頭のみ。世代の頂点を決めるレースである以上、評価基準としては「これまで積んできた実績≒格」が最も重要。最低でも収得賞金1,000万円以上(OP勝利・重賞勝ち負け)の実績は欲しいところだ。

 逆に言えば、優駿牝馬は非実績組にもチャンスが残されている。前述の通り、優駿牝馬はそれまでの牝馬クラシック路線から外れた条件で施行される。そのため、マイル以下では日の目を見ず、賞金を積めなかった中距離馬にも好走の余地があると言える。ただし、性能が適性を凌駕することがまま起こるのも春クラシックである。基本線としては、ここまでの実績を素直に評価していきたい。

番付表

 以上を踏まえた2023年牝馬クラシック番付はこちら。

横綱リバティアイランド
大関ハーパー
関脇ライトクオンタム
小結ラヴェル
前頭筆頭シングザットソング
前頭ラレーヌデリス
前頭イングランドアイズ
前頭ミッキーツインクル

横綱:リバティアイランド

 横綱評価は昨年末から変わらずリバティアイランドとする。母ヤンキーローズはG1-ATCサイアーズプロデュースS(1400m)・G1-ATCスプリングチャンピオンS(2000m)などAUS4勝、豪最優秀2歳牝馬・3歳牝馬に選出された名牝。2代母CondesaarがBest in Show3×4という名繁殖のクロスを持つため、繁殖としてのポテンシャルが非常に高い。本馬のようなキングカメハメハ系種牡馬との配合では、Best in Showのクロスを継続する形になるため、より爆発力を秘めた配合となっている。また、「ドゥラメンテ×Gone West(Mixed Marriage)」はタイトルホルダー・スターズオンアースといった父の代表産駒2頭に共通するニックス。血統表を見た時点から、父の代表産駒になれるだけのポテンシャルを感じさせる好配合で、POG企画では常に高評価を与えてきた。

 7月の新馬戦(新潟芝1600m)では、後にL-ジュニアCを制するクルゼイロドスルに3馬身差の完勝。計時した上がり3F31.4はJRA歴代最速タイ記録であり、2歳牝馬としては明らかに桁違いのパフォーマンスを発揮している。2戦目のG3-アルテミスS(東京芝1600m)では、終始外から蓋をされ、直線1F程しかまともに追えない競馬を強いられながらもクビ差2着。G1-阪神JF(阪神芝1600m)では、中団外目から優々抜け出し、2馬身半差の完勝。勝ち時計1:33.1は過去10年で2位タイの好タイム。中身の伴った好内容で、名実ともに2歳女王となった。

開催年優勝馬名馬場状態勝ち時計上がり3F
2019レシステンシア1:32.735.2
2020ソダシ1:33.134.2
2022リバティアイランド1:33.135.5
2021サークルオブライフ1:33.833.9
2013レッドリヴェール1:33.934.1
2016ソウルスターリング1:34.034.8
2018ダノンファンタジー1:34.134.0
2017ラッキーライラック1:34.333.7
2014ショウナンアデラ1:34.434.0
2015メジャーエンブレム1:34.535.8

過去10年阪神JF優勝馬(勝ち時計順)

 年明け以降の競馬を見る限り、やはりこの馬を超える素材は出てきていない。桜花賞が4ヶ月振りの実戦となるが、ここまでの調整も順調。桜花賞はほぼ確勝、優駿牝馬は距離延長に疑問も、能力だけで春二冠達成の可能性が高いだろう。

玄野「鞍上は引き続き川田ジョッキーですから、ハープスターだと思って末脚を炸裂させてほしいですね。大外ブン回しの大味な競馬で才気爆発、今後はそんなレースを見たいところです。」

2023年クラシック路線を予想する~牝馬編~-シオノゴハンブログ

大関:ハーパー

 大関評価はハーパーとする。母セレスタはG1-エストレラスJF大賞典(1600m)などARG6勝、亜最優秀2歳牝馬に選出された名牝。繁殖としてもヴァレーデラルナ(Jpn1-JBCレディスクラシック)を輩出するなど、非凡な活躍を見せている。「ハーツクライ×Seattle Slew」はスワーヴリチャード・ドウデュース・アドマイヤラクティ等と共通するニックス。ハーツクライの持ち味である伸びやかなストライドを阻害せずに、馬力の源泉であるLa Troienneを刺激している。兄姉は奥手なタイプが続いたが、母の経歴を考えれば本馬のように早期から活躍するタイプが出ても不思議はない。

 11月の新馬戦(阪神芝2000m)はクビ差2着と惜敗するも、続く12月の未勝利戦(阪神芝1600m)で勝ち上がり。年明け初戦のG3-クイーンC(東京芝1600m)では、中団馬群追走から直線不利を受けつつも、実績馬との叩き合いを制して重賞制覇。下表の通り、稍重馬場ながら過去のクラシック好走馬をも上回る好時計を叩き出している。2000mの新馬戦で卸している点や厩舎・配合から、本質的に中距離馬であることは間違いなく、馬体を見る限り完成度もまだまだ低い。それでも東京マイルをこの内容で勝ち切るのは、元値の高さの為せる技だろう。

開催年優勝馬名馬場状態勝ち時計上がり3F
2016メジャーエンブレム1:32.534.7
2023ハーパー稍重1:33.134.5
2017アドマイヤミヤビ1:33.233.6
2021アカイトリノムスメ1:33.334.4
2018テトラドラクマ1:33.735.9
2020ミヤマザクラ1:34.034.3
2015キャットコイン1:34.034.6
2022プレサージュリフト1:34.133.5
2019クロノジェネシス1:34.233.1
2014フォーエバーモア稍重1:35.734.6

過去10年クイーンC優勝馬(勝ち時計順)

 桜花賞を勝ち切る程の爆発力は感じないが、ここから更に上積みを見せれば、優駿牝馬でリバティアイランド相手に逆転の目はある。長距離帝国友道厩舎の手腕に期待。

関脇:ライトクオンタム

 関脇評価は、昨年末から評価を上げてライトクオンタムとする。母イルミナントはG1-ゲイムリーSなどUSA6勝。「ディープインパクト×Touch of Greatness」はケイアイノーテック・ショウナンアデラと共通するニックス。Alzaoを活かした相似配合で、ディープインパクトのしなやかさを増幅している。

 11月の新馬戦(東京芝1600m)を2馬身半差で逃げ切り完勝。勝ち時計1:34.1は1600mの新馬戦に於いて世代最速タイ記録であり、その走りからもまだ上積みがあると見て、2歳牝馬番付で名前を挙げた。年明け初戦のG3-シンザン記念(中京芝1600m)では、出遅れからの直線差し切り。メンバーレベルが高かったとは言い難いものの、牡馬相手に強引な競馬で勝ち切った点は評価できる。

開催年優勝馬名馬場状態勝ち時計上がり3F
2021ピクシーナイト1:33.335.2
2023ライトクオンタム1:33.734.6
2022マテンロウオリオン1:34.134.9

過去10年シンザン記念優勝馬(中京開催・勝ち時計順)

 馬体重420㎏台と小柄で、ここまでのレース振りもポテンシャルだけで勝利している感が強い。血統メモで取り上げた際は『牝系に奥がないのでG1クラスの活躍までは疑問』と書いたが、それでもこの番付順に落ち着く程度に能力は評価している(この世代の層が薄いことも理由の1つではあるが)。今後の伸び代という意味では一番かもしれない。

小結:ラヴェル

 小結評価は昨年末から評価を下げてラヴェルとする。快足キョウエイマーチ牝系出身で、母サンブルエミューズはOP-芙蓉S(1600m)など3勝。本馬はナミュール(G2-チューリップ賞)の半妹にあたる。「キタサンブラック×ダンシングブレーヴ」は父の代表産駒イクイノックスと共通し、Halo≒Sir Ivor≒Droneの相似クロスによって、ディープインパクト的にキレる要素を増幅するニックス。母父ダイワメジャー・ノーザンテースト5×4で頑健さを補ってはいるが、見た目や走りからは素軽さの方が強く表現されているように感じる。

 7月の新馬戦(小倉芝1800m)でデビュー戦勝利を収めると、2戦目のG3-アルテミスS(東京芝1600m)では、後の2歳女王をクビ差抑えて重賞制覇。前述の通り、リバティアイランドが不発に終わったレースであることは間違いないが、出遅れ最後方から60.8-33.0の走破と、本馬自身が新馬戦から大幅にパフォーマンスを上げてきたこともまた事実である。G1-阪神JF(阪神芝1600m)では、またも出遅れ最後方から末脚不発で11着大敗。力を出し切っての負けとは言い難く、ここで見限るのは早計だろう。

開催年優勝馬名馬場状態勝ち時計上がり3F
2018シェーングランツ1:33.733.8
2022ラヴェル1:33.833.0
2021サークルオブライフ1:34.033.5
2015デンコウアンジュ1:34.133.3
2019リアアメリア1:34.333.0
2014ココロノアイ稍重1:34.434.3
2020ソダシ1:34.933.9
2017ラッキーライラック1:34.934.7
2013マーブルカテドラル1:35.233.9
2016リスグラシュー1:35.533.5

過去10年アルテミスS優勝馬(勝ち時計順)

 年明け早々に桜花賞への直行ローテーションを表明し、賞金順的にはギリギリながらも無事出走が確定している。とはいえ個人的には本馬のマイラー的資質には懐疑的であり、状態が整ったとしても、フィジカルの強さが求められる桜花賞での巻き返しは難しいのではないかと思う。半姉のように、阪神JF→桜花賞で評価を落とし、優駿牝馬で一発に期待といったところか。

前頭

 前頭筆頭はシングザットソングとする。近年”非”出世レースとして名高いフィリーズレビューを制している点は気になるが、勝ち方自体は中々味があった。ここまで上がり最速での差し損ねが続いていたが、今回の勝利がブレイクスルーになれば。

 その他現状賞金を持っている組から、ここまでに挙げた実績馬を負かす馬が現れる可能性はかなり低いと思われる。以下は優駿牝馬に向けての非実績組を挙げておきたい。今後のステップレース想定馬からはラレーヌデリス(忘れな草賞)・イングランドアイズ(フローラS)。2頭共に上位好走が本番出走の絶対条件となるが、あっさり突破するようなら本番でも期待できる好素材。大穴としてミッキーツインクルの名前も残しておく。血統メモでも取り上げたように、新馬戦で残したインパクトは充分。次走予定が中々出ないのが気掛かりだが、投稿時点では帰厩しているようなので、トライアルに是非出てきてほしい。

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