キャロットC2023年度募集馬分析 アドマイヤセプターの22

募集馬情報

父:シスキン 母父:キングカメハメハ

生年月日:2022年01月19日 生産:ノーザンファーム

所属厩舎:田中博康(美浦) 募集総額:5,000万円(一口125,000円)

父シスキンについて

競走実績

 通算成績8戦5勝。2歳5月のメイドンでデビュー戦勝利を飾ると、L-マーブルヒルS・G2-レイルウェイSG1-フェニックスSを立て続けに制し、デビューから僅か3ヶ月でG1馬となった。続くG1-ミドルパークSでは発走直前にゲート内で暴れ出走取消の憂き目に遭うも、立て直して挑んだ3歳初戦G1-愛2000ギニーでは、後方ラチ沿いから馬群を突き抜け優勝。無傷5連勝でクラシック制覇を果たした。以降3戦するも勝ち星を挙げることができず、3歳秋で引退・翌年より本邦で種牡馬入りする運びとなる。早熟性とスピードの絶対値の高さが本馬の武器と言えるだろう。

血統・配合

 Best in Show牝系出身で、二代母Silver StarはXaar(G1-デューハーストS 他)の全妹。父First Defenceは芝・ダートの重賞を制したスプリンターで、エンパイアメーカーとは1/2同血の関係。本馬は父の8世代目産駒、母6歳時の2番仔にあたる。代々Nasrullah×Princequillo血脈の強いスプリンターが重ねられたアウトラインであり一見軽さが目立つが、その多くが名血名配合で構成されており、更にBest in Show6×4の名牝クロスで底力を増幅。Unbridled’s Songを異系とする「3/4ND・1/4異系」の形式で全体のバランスも好ましい。

 Unbridled’s Song・Seattle Slew・El Gran Senor・Dancing Brave・Gone Westなど、現代日本主流血統とニックスの関係にあたる血脈で埋め尽くされており、Northern Dancer・Mr. Prospectorの血量も程々に抑えられている。多くの内国産芝A級繁殖と配合して無理なく好型になる点が優れており、個人的には非常に期待している種牡馬の1頭である。

世代評価

 22年産駒は初年度産駒にあたり、当時の種付料は350万円。シーズン序盤、種付中に転倒してしまい、大事をとって以降の種付を中止。その結果種付頭数は20頭に留まり、血統登録されたのは僅か7頭となった。その後も種付頭数は毎年100頭に満たない程度と苦戦が続いており、少ないチャンスを逃さず結果で見返したいところ。

母アドマイヤセプターについて

競走実績

 通算成績27戦5勝。2歳8月の新馬戦で7馬身差の圧勝。G3-札幌2歳S 3着・G3-フェアリーS 3着と健闘するものの、勝ち切れないまま春クラシックシーズンを終える。3歳秋から再始動し地道に勝ち星を積み重ね、4歳秋にOP入りすると、同年のG2-スワンS 3着・G3-京阪杯 2着、翌年のG1-スプリンターズS 5着。最後までタイトルには手が届かなかったが、重賞でも通用する非凡なスピードを証明し続けた。

血統・配合

 二代母エアグルーヴはG1-優駿牝馬・G1-天皇賞(秋)など重賞7勝の97年JRA賞年度代表馬。母アドマイヤグルーヴはG1-エリザベス女王杯 連覇など重賞5勝の04年JRA賞最優秀古牝馬で、ルーラーシップ(G1-クイーンエリザベス2世C 他)の半姉。本馬はドゥラメンテ(G1-東京優駿 他/15年JRA賞最優秀3歳牡馬)の全姉にあたる。

 「キングカメハメハ×エアグルーヴ牝系」はルーラーシップ・ドゥラメンテ・ジュンライトボルトなどと共通。名牝エアグルーヴの配合の核であるHornbeam≒パロクサイドを継続することで、『Nasrullah×Hyperion血脈』の野太いキレを増幅。キングカメハメハ後継のロードカナロアと同牝系の組み合わせからもグルーヴィット・レッドモンレーヴなどが出ており、代を経ても衰えない抜群の好相性を誇る。本馬は母父にサンデーサイレンスを挟むことで、スピードを底上げしつつ「3/4ND・1/4異系」を形成。血統表を見る限りは全弟同様クラシックタイプに出そうなものだが、牝系由来の激気性が強く発現したため、主戦場はスプリント~マイル路線とせざるを得なかった。

繁殖実績

生年馬名性別種牡馬成績(執筆時点)
2015不受胎ハービンジャー
2016ラディアントパレスハービンジャー未勝利
2017スカイグルーヴエピファネイアJRA2勝
G2-京王杯SC 2着 他
2018レガトゥスモーリスJRA3勝
2019デシエルトドレフォンJRA4勝
L-若葉S 他
2020リベイラパレスエピファネイアJRA1勝
2021コンテネレッツァエピファネイア未出走

 出走産駒勝馬率80.0%(4/5)。22年産駒は母14歳時の7番仔にあたる。

本馬アドマイヤセプターの22について

 「シスキン×キングカメハメハ」は父の持つBest in Show6×4(Sex Appeal≒Monroe5×3)を継続し、底力を増幅。HyperionとLe Troienneの重厚な欧血で、父の北米的軽快スピードを下支えする。本馬は母がドゥラメンテの全姉で、父がGone West~Mixed Marriageを抱えるA級マイラーで、El Gran Senor=Try My Best5×5を内包するBest in Show(5×7)×7を持つ。父母を逆にすると今年の二冠牝馬リバティアイランドと似通う配合型で、同等クラスの爆発力を秘めている。

 「父マイラー×母クラシック血統」という配合型からは中距離に出ても何ら不思議ないが、現状の体型を見る限り適正距離はマイル前後だろう。兄姉は態勢整わずデビューが遅れるケースも目立つが、本馬は父の早熟性に早生まれの影響も重なり、現状で馬体の完成度がかなり高い。早期デビューからサウジアラビアRC、朝日杯FS、NHKマイルCという青写真を描ける好素材だ。

 預託予定の田中博師は美浦期待の若手。騎手時代は目立つ存在ではなかったものの、厩舎開業当初から地道に勝ち星を積み重ね、今年はレモンポップで重賞・G1制覇を達成した。ローシャムパークをはじめNF生産馬でも結果を出しており、系列クラブ内の序列も右肩上がり。キャロットC所属馬では出走3頭中2頭が勝ち上がり、レーベンスティールがG3-ラジオNIKKEI賞3着。預託馬のレベルが上がる今後、更に成績を上げることが期待される。

 バツ1抽選クラスの大人気が予想される馬を敢えて挙げる意味とは……とも思うが、父産駒の大物候補を推せる機会を逃す手はないとして、本馬を推奨一番手とする。

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