菊花賞予想2022『馬三人七』

 昨年に引き続き、京都競馬場改修工事による変則阪神開催の牡馬三冠最終戦。以下の表では、2012-2021年のクラシックホースのうち、クラシック後にG1レースを制した馬を示した。こうして見ると、菊花賞馬が他を圧倒していることが分かる。早期段階での完成度対決の要素を多分に含む春クラシックと異なり、対古馬戦も見据えるこの時期にタフな条件で同世代の最上位に立つ馬には、”最も強い”という形容詞が似合う。

皐月賞東京優駿菊花賞
2012ゴールドシップゴールドシップ
2013ロゴタイプエピファネイア
2014
2015キタサンブラック
2016サトノダイヤモンド
2017アルアインレイデオロ
2018フィエールマン
2019ワールドプレミア
2020コントレイルコントレイルコントレイル
2021エフフォーリアシャフリヤールタイトルホルダー

 「菊花賞はマイラーでも勝負になる」などと言われることもあるが、菊花賞で馬券に絡んだ馬で真にマイラーだったと言えるのは、近年で言えば16年3着エアスピネルくらいではないだろうか。特にここ数年の好走馬の血統表を見ると、三冠馬コントレイルを除き、重厚な欧州血脈が名を連ねる。全馬が未経験の距離である以上、未だ見えていない長距離適性を見抜く必要があり、その最大のヒントとなるのが血統だ。つまり菊花賞は、血統派にとって一年で最も当てたいレース、当てなければならないレースなのだ。

 ところで今年の出走馬だが、ドウデュースは仏遠征、イクイノックス・ジオグリフ・ダノンベルーガら世代上位馬は揃って天皇賞(秋)に出走と、昨年に続いて皐月賞馬・ダービー馬不在の手薄なメンバー構成となった。先ほど『当てなければならないレース』などと息巻いてはみたものの、正直に言うとここまで買う気の起きない菊花賞も初めてで、おそらく今後この18頭に本命を打つことはないだろう。

 馬で選べないのであれば、人で選ぶしかない。◎⑱セレシオンでお茶を濁すことにした。以下に示すのは、芝3000m以上で施行された中央OPクラスの騎手別・厩舎別成績(過去10年)。特殊条件かつ施行回数が少ないためどうしても数字は偏るが、それを踏まえても福永・友道両氏の長距離適性は間違いなく高い。特に友道師は菊花賞に限定しても【1-2-2-7】で複勝率41.7%、出走頭数も含め圧倒的な数字を叩き出している。馬にも触れておくと、母クルソラはG1-エンリケ・アセバル大賞(ARG/芝2000m)、G1-亜銀杯(ARG/芝2000m)を制した亜最優秀3歳牝馬で、半姉クルミナルは桜花賞2着・優駿牝馬3着。父がハーツクライに替わった本馬も配合形は姉に近く、Lyphard4×4とHalo≒Red God3×4によって、先行して粘り込む万能中長距離馬。ポテンシャルでデビュー2連勝の後、クラシック前哨戦では成長追い付かず行き脚つかずの敗戦。3ヶ月振りの実戦となった前走は、大逃げの番手で運び、直線入口で自ら捉えそのまま後続を突き放す3馬身半差の完勝。これまでの歩みからは、一夏越えて先行力を身に着けた”いかにも”な本格化ハーツクライ産駒に見える。前走阿賀野川特別組は【0-0-2-1】(過去10年)で、ポポカテペトル(13人気3着)・ユーキャンスマイル(10人気3着)の2頭が馬券に絡む穴パターンの筆頭格だ。『馬七人三』という言葉があるが、逆に馬の力に差がなければ、陣営の力がモノを言う。長距離帝国の手腕にお任せして、濁したお茶でも啜りながらレースの行方を生暖かく見守りたい。

順位騎手着別度数勝率複勝率厩舎着別度数勝率複勝率
1岩田康誠7-3-2-1922.6%38.7%友道康夫5-7-3-2412.8%38.5%
2Cルメール6-2-5-927.3%59.1%須貝尚介5-1-0-1523.8%28.6%
3武豊5-3-4-1816.7%40.0%堀宣行4-1-2-1617.4%30.4%
4福永祐一4-5-3-1813.3%40.0%手塚貴久4-0-2-536.4%54.5%
5横山典弘4-1-2-1816.0%28.0%宗像義忠3-3-0-430.0%60.0%

 紐に押さえるのであれば、昨年の優勝馬タイトルホルダーと臨戦過程が重なる△⑭アスクビクターモア、トライアル勝ち馬の△①ガイアフォース△⑰ジャスティンパレス。敢えて順位を付けるなら、ジャスティン→アスク→ガイアか。

最終印

 ◎⑱セレシオン

 △⑭アスクビクターモア

 △①ガイアフォース

 △⑰ジャスティンパレス

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