自称血統評論家が2024菊花賞を考える

参考記事

注目馬考察

アーバンシック

ウインドインハーヘア牝系で、二代母ランズエッジはディープインパクト・ブラックタイド・ヴェイルオブアヴァロンの半妹。レガレイラとは同血にあたる。『スワーヴリチャード×Danzig』はコラソンビート・スウィープフィートなどとも共通。父によく似てトニービン的野太いキレが強い。距離は幾分長い印象だが、ポテンシャルは世代最上位。

コスモキュランダ

母サザンスピードはG1-MRCコーフィールドCなど重賞3勝。ディープインパクト産駒としては機動力に長けた父アルアインにHalo≒Sir Ivorを重ねた配合で、小回り中山重賞では皐月賞2着含め1-2-0-0と崩れ無し。逆に言えば、京都外回りでは強みが活きにくいか。全体に長手の造りで距離延長は悪くない。

ショウナンラプンタ

母フリアアステカはG1-ラプラタオークスなど重賞2勝。『キズナ×Unbridled’s Song(=アジアンミーティア)』はビアンフェなどと共通。『ディープインパクト×Storm Cat×Unbridled’s Song』と考えれば、コントレイル・オオバンブルマイなどとも似通う。勝ち味に遅いが末脚は堅実。距離延長がプラスとは言えないが、京都外回り自体は合いそう。

ダノンデサイル

母トップデサイルはG1-BCジュヴェナイルフィリーズ 2着など。Roberto4×5・Seattle Slew5×4・Northern Dancer(7×5)×(5×6)・Sir Gaylord≒Secretariat6×(5×7×6)などの父母相似配合。父譲りの体質の良さと父産駒らしからぬ立ち回りの上手さでダービー制覇。ステイヤーではないが、距離はこなせる範囲。

ヘデントール

二代母エンシェントヒルはOP4勝。新馬戦はジャスティンミラノの2着。青葉賞では人気を裏切る結果も、古馬相手の2戦はともに完勝でOP入り。特に前走日本海Sは鬼の加速ラップで、昨年の同レース(優勝馬ドゥレッツァ)をも凌ぐハイパフォーマンスだった。小顔で伸びやかな馬体から距離延長は問題ないが、完成度では若干見劣る気も。

メイショウタバル

母メイショウツバクロはメイショウカンパクの半妹。『ゴールドシップ×フレンチデピュティ』はプリュムドールなどと共通。『ステイゴールド系×フレンチデピュティ』の括りでは、マルシュロレーヌ・レインボーライン・スルーセブンシーズなどと共通する。手先が強く、道悪は鬼。惰性で下る京都外回りはベストだが、折り合い面から距離延長への不安は残る。

馬券考察

◎アーバンシック

〇コスモキュランダ

▲メイショウタバル

★ショウナンラプンタ

△ダノンデサイル

△ピースワンデュック

△ヘデントール

△アドマイヤテラ

ハナ候補は5枠10番メイショウタバルと7枠15番エコロヴァルツ。メイショウタバル陣営は「テンから出していくことはしない」とのコメントを出しているものの、押さえが利くかは別問題。前走神戸新聞杯は気分良く単騎マイペースで運べたが、今回のメンツを考えると、皐月賞のように周りに突かれてペースを落とせない可能性が高い。道悪の毎日杯で異常な時計を叩き出しており、前走本命を打ったように能力自体は高く評価しているが、ここは少し控えめな印に留める。

本命はアーバンシックとする。今回の出走面子で唯一2歳牡馬番付入り(関脇)を果たしているように、2歳時点から世代屈指の好素材と評価していたものの、春シーズンは勝ち切れない競馬が続いた。緩いトモで行き脚つかず、大外を回して突っ込んできた頃には既に勝負あり。父スワーヴリチャードやその父ハーツクライの春クラシックと同じである。そんな負のイメージを一変させたのが、前走セントライト記念。スタートはやはり遅れたものの、向正面ではいつの間にか先団を見る位置でインベタ追走。他馬が仕掛けだす4角でもじっくり構え、直線馬群の切れ目から抜け出すと、一頭違う脚色で突き抜け完勝。自身が一夏を越えて馬体的・精神的に大きく成長したことに加え、祖父ハーツクライを覚醒させた名手ルメールへの手替わりによって、『Hyperion最強』の片鱗が見えた一戦だった。今回の距離は本馬にとって明確に長く、淀の長丁場はトニービンの鬼門である。それでも、『一番強い馬』に本命を打って締め括るのが、菊花賞の予想として相応しいと思う。

コスモキュランダは小回り巧者で本質的にこのコース向きではないが、縦長の展開を思えば直線末脚比べの線は薄く、寧ろ機動力が活きる可能性も。弥生賞・皐月賞の時計が良く、前走のパフォーマンスを見ても地力は世代上位。血統表の字面以上にコンフォメーションは長距離向きで、安定感は随一では。

思いの外人気にならず、意外なのがショウナンラプンタ。東スポ杯2歳Sで本命を打ったように、早期から一定の評価を与えており、キズナ牡駒らしいダラっとした末脚は京都外回り向き。春先は折り合い面に不安を抱えていたが、前走神戸新聞杯は4角で器用に内を突いて3着と、デビュー戦から継続騎乗の鮫島克がようやく手の内に入れてきた感がある。ホープフルSの走りから右回りで外に張りそうな点は不安だが、そこさえこなせば一角崩しもあり得る。

ダービー馬ダノンデサイルは絶好の2枠4番を確保。人気して然るべき存在とは認めつつ、未だにどうしてもG1を勝つ器には思えない。東京優駿は恵まれた”だけ”で勝てるレースではなく、一定以上の能力評価は必要なのだが、勝ち上がり時評価E且つこれまでのクラシック路線考察で一度も触れてこなかった馬を高評価するのは義に反する。よって、これ以上の印は打たない。

現3歳世代は牡馬牝馬ともに春の実績組が強く、距離適性を加味しても前走条件戦組が勝ち負けするのは厳しいとみるが、3連系ならピースワンデュック・ヘデントール・アドマイヤテラのステイヤー3頭を押さえたい。

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