社台TC2023年度募集馬分析 ナッシングバットドリームズの22

募集馬情報

父:ダイワメジャー 母父:Frankel

生年月日:2022年02月19日 生産:社台ファーム

所属:武幸四郎(栗東) 募集総額:4,000万円(一口1,000,000円)

父ダイワメジャーについて

競走実績

 通算成績28戦9勝(JPN1600-2000m)。2006年度最優秀短距離馬、2007年度最優秀短距離馬。3歳1月の未勝利戦(ダート)を9馬身差で勝ち上がり、G2-スプリングS3着で優先出走権を獲得。迎えた本番G1-皐月賞では、2番手追走から直線力強く抜け出すと、コスモバルクの追撃を凌ぎ切り、10番人気の低評価を覆す優勝。クラシックの大舞台で初タイトルを獲得した。喉鳴りの悪化から揮わない結果が続き、3歳秋に手術を決行。4歳復帰初戦のG3-ダービー卿CTでは、当時のレースレコードを更新する好時計で優勝し、復活をアピールした。5歳秋にはG2-毎日王冠G1-天皇賞(秋)G1-マイルCSを連勝し、「ノーザンテーストは3度変わる」を体現。翌6歳時にはG1-安田記念G1-マイルCSを制し、春秋マイルG1制覇を果たした。

血統・配合

 スカーレットインク牝系。母スカーレットブーケはG3-中山牝馬Sなど重賞4勝、G1-エリザベス女王杯3着。繫殖としては更に優秀で、本馬の他にダイワスカーレット(G1-桜花賞 他重賞6勝・最優秀3歳牝馬)など、出走産駒14頭中8頭がJRA3勝以上を挙げた。本馬は父の10世代目産駒、母13歳時の7番仔にあたる。

 「サンデーサイレンス×Northern Dancer」の鉄板配合でAlmahmoudのスピード増幅を主軸としながら、Nothirdchance≒Beau Max4×4で北米的馬力を上乗せ。配合に裏付けられたサンデーサイレンス産駒屈指のパワースピードで、マイル戦と急坂中山コースに高い適性を見せた。

種牡馬実績・世代評価

 2008年より社台スタリオンステーションにて供用開始。2015年度JRA2歳リーディングサイアー。22年産駒は14世代目産駒にあたる。サンデーサイレンス直仔種牡馬として長らく日本競馬を支え続けてきたが、寄る年波には勝てず、この世代よりプライベート種牡馬として供用。種付頭数は前年の112頭から51頭まで急減している。とはいえ近い世代からもG1馬を輩出しているように、種牡馬としてのポテンシャルは衰え知らず。

母ナッシングバットドリームズについて

競走実績

 不出走。

血統・配合

 母デインドリームはG1-凱旋門賞・G1-キングジョージ6世&クイーンエリザベスS・G1-バーデン大賞(2回)など、GB・FR・GER・ITYで計8勝。カルティエ賞最優秀3歳牝馬・独年度代表馬を受賞した。本馬は父の初年度産駒、母6歳時の初仔にあたる。

 父Frankelは通算成績14戦14勝の欧州最強馬で、種牡馬としても9ヶ国(JPN・GB・IRE・FR・GER・USA・CAN・UAE・AUS)でG1勝利を挙げる世界の大種牡馬。意図的な種付制限が行われており、配合相手の多くは優れた競走実績・血統背景を持つが、本馬もその例に漏れない”15冠ベイビー”である。Danehill3×3の強力なインブリードが災いしたのか、競走馬としてのデビューは叶わなかったが、この”血の凝縮”が繁殖としての可能性を高めている。

繁殖実績

生年馬名性別種牡馬成績(執筆時点)
2019ルージュエヴァイユジャスタウェイJRA4勝
2020デインバランスエピファネイアJRA1勝
2021リーチユアドリームマインドユアビスケッツ未出走

 出走産駒勝馬率100.0%(2/2)。22年産駒は母8歳時の4番仔にあたる。

本馬ナッシングバットドリームズの22について

ニックス

 「ダイワメジャー×Blushing Groom」は、セリフォス・メジャーエンブレム・コパノリチャード・マテンロウオリオン・ロジチャリスと共通し、勝馬率62.7%(101/161)、平均本賞金額2,913万円。ダイワメジャー黄金配合の核であるHalo≒Red Godで、スピードと機動力を増幅している。余談だが、最近流行の「ビスケッツメジャー」はこの応用パターンだろう。

アウトライン・総評

 Danehill3×3・Northern Dancer(4×5)×(5×5)の母に対して、サンデー直仔種牡馬を配することにより、「3/4ND・1/4異系(SS)」のオーソドックスな好型とした。AllegrettaやLomitasなど独の名血からDonatello×Hyperion血脈を補給し、ノーザンテーストのPretty Pollyを増幅。更にSadler’s Wellsも添えて、重厚さを補うという観点に於いては充分過ぎるほどの仕掛けが施されている。姉2頭を見る限り、母は良血馬らしいスピードを高水準で遺伝しており、その点も心配はない。

 派手な顔といかにも頑丈そうな骨格は父(延いてはその母父)譲り。首差しやトモのボリュームは力感充分で、父母の血統的美点が表現された好馬体と言える。低方形のバランスのまま大きく崩れることなく成長してきそうで、適性は間違いなくマイル以下、古馬になって短距離に寄ってくるタイプだろう。

 預託予定の武幸師は栗東若手の有望株。同クラブ所属馬では出走3頭中2頭勝ち上がり、ライトクオンタムで重賞制覇と早速結果を出しており、相性は良好。

 母は昨年8月に死亡しており、本馬がラストクロップとなる。毎年異なる種牡馬を配し、いずれも成功を収めてきたが、フックとなる血脈の多さで言えば、父ダイワメジャーの本馬こそ限りなく正解に近い配合ではないかと考える。「ラストクロップにして最高傑作」を狙いたい。

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