秋華賞予想2022『天才ではないが故に。』

 昨年に引き続き、京都競馬場改修工事による変則阪神開催の牝馬三冠最終戦。京都芝2000mと阪神芝2000mの共通点は、コーナー4つの内回りであること。大箱主流条件で施行される桜花賞・優駿牝馬と異なり、非主流条件で開催されるという点を念頭に考察したい。

 阪神内回りは3角(ラスト4F地点)から直線半ばまで下り続け、ラスト1Fで急坂を駆け上がるコース形態。同コースで施行された昨年のレースラップを見ると、1000m通過は61.2と然程速くないものの、ラスト4-3Fで11.5-11.3と急加速し、ラスト2-1Fでは12.3-12.9と大きく落としている。昨年の結果は極端ではあるが、概ねラスト4Fの持続力勝負になりやすいコースと言ってよいだろう。

 馬場は開幕2週目のAコースを使用。先週は開催前のエアレーション・シャタリングにより、開幕週ながら総じて外差し有利のバイアス。週中は晴れたものの、悪天候の3日間開催による影響は少なからず残ったコンディションで、今週も極端に傾向が変わることは無いように思える。

 ペースメーカー候補はブライトオンベイスとタガノフィナーレ。テンのスピードは1400mを逃げてきたブライトの方が速いが、前走を見る限りタガノはハナを切りたいクチだ。それらを前に、サウンドビバーチェ・アートハウス・ウォーターナビレラ・スタニングローズ辺りが番手からプレスを掛けていくことを考えれば、ある程度ペースは上がると見た方がよい。中盤緩まず流れるならば、差し馬を狙うのが筋だ。

 ◎⑨スターズオンアースとする。独Sライン出身。二代母StacelitaはG1-仏オークス(FR/芝2100m)など仏米でG1・6勝を挙げたエクリプス賞最優秀芝牝馬で、母サザンスターズはソウルスターリング・シェーングランツの半姉。ドゥラメンテ×Shirley Heights・ドゥラメンテ×Sharpen Upは、父産駒もう1頭のG1馬であるタイトルホルダーと共通するニックス。ナスペリオン(Nasrullah×Hyperion)の王様である父を、よりHyperionに寄せたイメージの持続型中距離馬に仕上がった。マイルで惜敗を重ね、クラシック本番で遂に本格化。桜花賞はインから馬群を割って、優駿牝馬は外を回して、差し切り二冠達成。数字上はどちらも上がり33秒台だが、見た目には”鋭くキレた”というよりも、”ジワりと伸びた”という表現が似合う末脚で、実にHyperionを感じる。父のような爆発的末脚は繰り出せないが、寧ろ爆発力が無いからこそ、コーナリングに難が無く、内回りを正攻法のロングスパートで差せるのだ。父のような天才ではないが故に、秋華賞を勝つのに相応しい、三冠牝馬に相応しい秀才なのだ。

 前走トライアル組の成績について、10-15年・16-21年と6年毎に集計すると以下の通り。前者はローズS組が圧倒しているのに対し、後者は紫苑S組が成績を大きく伸ばしていることが分かる。境とした16年は、紫苑SがOPからG3に昇格し、優先出走枠が2枠から3枠に拡大された年にあたる。元より、大箱で施行されるローズSよりも小回りで施行される紫苑Sの方が条件は本番に近い。ローズS組の優位点であった『レース格(≒出走馬レベル)の差』が是正されたことにより、この逆転現象が生じているのだろう。◯⑦スタニングローズは、外目3番手から早目に捲り、逃げるサウンドビバーチェとの叩き合いをクビ差制して紫苑S制覇。本番を見据え、着差以上に良い内容だったと評価したい。優駿牝馬でワンツーを決めたように、能力の方向性はスターズオンアースと似通うHyperionホース。単純な地力比較とトラックバイアスから、二番手評価に落ち着いた。

10-15年着別度数勝率複勝率16-21年着別度数勝率複勝率
紫苑S1-0-0-273.6%3.6%紫苑S2-4-0-246.7%20.0%
ローズS4-5-3-368.3%25.0%ローズS0-1-5-300.0%16.7%

 ▲⑩アートハウスは、スローからの瞬発力勝負であれば本命を打てるが、ロングスパートの末脚比べでは分が悪い。コーナリング性能は随一で、内回りへの適性自体は間違いなく高い。前が想定以上にやり合わず、ロスなくインベタから抜け出せば勝ちの目まで。

 紐に押さえておきたいのは、世代屈指の高性能マイラー△⑧ナミュール。距離には疑問も、最後方から直線だけの競馬に徹すれば、一発あって不思議ない。

最終印

 ◎⑨スターズオンアース

 ◯⑦スタニングローズ

 ▲⑩アートハウス

 △⑧ナミュール

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