スプリンターズS予想2022『あの日の罵声を、歓声に。』

 中山は週中通して晴れ。例年同様、開催前のエアレーション・シャタリングで緩んだ馬場が踏み固められている。先週からCコースに替わり、メインは1~3番枠で決まる競艇レースとなった。土曜のレースで見極める必要はあるが、十中八九インベタ有利の高速芝で行われることとなるだろう。

 ペースメーカー候補はテイエムスパーダとファストフォース。前者はCBC賞で見せた31.8-34.0のレコード勝利で強烈なインパクトを残したが、この数字は軽斤量と鞍上の思い切りの良さが大きい。53㎏国分恭介では、前半33秒フラットが関の山だろう。後者は今年に入って一度も通過順1番手の実績が無い。しかし前走セントウルSでは、暴走する逃げ馬の番手で32.6-34.0の2着と健闘。継続騎乗の団野であれば、本番でも32秒台で押し通してくるのではないだろうか。本線はファストフォースと睨みつつも、いずれにせよ緩い流れになることは考えにくい。前半33.0前後で流れ、1分7秒前半での決着と想定する。

 前傾スプリント戦では、サンデーサイレンスの血を軽視するのが血統予想のセオリー。出走馬でサンデーを引かないのは、ヴェントヴォーチェ・シュネルマイスター・テイエムスパーダ・ファストフォース・マリアズハート。血量1/8以下は、ウインマーベル・エイティーンガール・タイセイビジョン・トゥラヴェスーラ・ナムラクレア。高速芝の大舞台で重い印を打つに値する馬と考えれば、自ずと本命は決まってくる。

 ◯⑬メイケイエールは高松宮記念で本命を打ったが、あのしなやかな走りは明らかに純スプリンターのそれではない。前走セントウルSでは、33.3-32.9のレコード勝利。流石に4角では追っ付け気味になっており、折り合い面の良化というよりは、単に掛かる余裕がなかっただけに思える。この馬が未だG1に手が届かない原因は、身体的追走ペースと気性的追走ペースの乖離に求められる。33秒後半辺りが理想的な追走ペースだろう。素質の高さは間違いなくG1級で、近走の充実度にも目を見張るものがある。今回も「33.5で入って33.5で上がる競馬」が出来れば、当然勝ち負け。ただ、やはりサンデーサイレンス3×4に中山芝1200mのG1で本命を打つのは憚られる。G1初制覇は然るべきレースまで待ってもらいたいという心情から、印は対抗まで。

 ⑮シュネルマイスターも、過去G1で何度も本命を打ってきた素質馬だが、1800mベストの長めマイラーで、ここは明らかに距離が足りない。20年のメンバー構成ほど実力差があれば、マイラーでも勝ち負け可能であることが証明されたが、今年はそうではないだろう。鞍上の辛口ジャッジも素直に信頼してよい。対抗共々、狙うのは次走のマイルCSに回したい。

 ◎⑨ナムラクレアとする。名牝Almahmoudの牝系。3代母Coup de Genieは、G1-モルニ賞(FR/芝1200m)など重賞3勝の仏最優秀2歳牝馬で、Machiavellianの全妹。近親にはバゴ(G1-凱旋門賞など重賞6勝)やDenebola(G1-マルセルブサック賞など重賞2勝)、Maxios(G1-ムーランドロンシャン賞など重賞5勝)、Emollient(G1-アメリカンオークスなど重賞4勝)と、世界中で枝葉を広げており、日本でも本馬やファンディーナ(G3-フラワーC)を輩出した。父ミッキーアイルは、牝祖My Bupersや母父Rock of Gibraltarから一本調子のスピードを受け継いだ、パワーマイラーのフィリーサイアー。本馬はディープインパクト系×Storm Catの定番ニックスを持ち、Haloクロスも併せて軽いスピードを強調しつつも、牝系から奥行きを感じられる好配合。距離適性は1400mベストのスプリンターで、これまでも1400m以下では本命を打ち続けてきた。前走北九州記念では向正面のポジション取りで後手を踏み、4角では進路を失いドン詰まりの3着。函館スプリントSでは外目3番手から楽勝だっただけに、レースセンスの低さを露呈する形になったが、直線での怒涛の追い上げは確かな素質を感じさせるものだった。このメンバー・この並びであれば、二の脚が鈍っても労せず3,4番手で運べるだろう。単なる時計勝負に持ち込めば、そこはStorm Catの土俵だ。

 ところで前走の負けパターン、実は初犯ではない。阪神JF(5着)・フィリーズレビュー(2着)でもほぼ同じ負け方をしている。鞍上には「いい加減学べ」と言いたいところではあるが、その後の桜花賞では、好発からインで溜め、適性外の大舞台で3着に粘っているのが腹立たしい(◎ナミュール)。思い返せば2016年、高松宮記念・スプリンターズSと共に2着で見限ったマイルCS。鬼の斜行で私の馬券(◎ディサイファ)を砕いていったのは、ミッキーアイルと浜中俊だった。あれから6年、ようやく和解するときが訪れたのかもしれない。

 紐に押さえるのであれば、馬場を活かした残り目に期待の☆⑧ファストフォース、同舞台春雷Sの勝ち方鮮やかな☆⑫ヴェントヴォーチェ、明らかに時計は足りないが地力上位の△⑪トゥラヴェスーラ。この3頭を推しておきたい。

最終印

 ◎⑨ナムラクレア

 ◯⑬メイケイエール

 ☆⑧ファストフォース

 ☆⑫ヴェントヴォーチェ

 △⑪トゥラヴェスーラ

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