夏の終わり、新種牡馬戦線異状アリ。

 残しておくべきではないかと思ったので、久々の投稿。

 夏のローカル開催が終了し、今週末からいよいよ秋競馬が始まる。G1シーズンのスタートも勿論楽しみだが、POG愛好家としては2歳戦の本格化が最大のトピックスである。その前に一つ、現時点での2歳新種牡馬の様子を確認してみよう。

 夏競馬終了(9/4開催終了)時点でのJRA新種牡馬リーディングは以下の通り(1勝以上のみ)。

順位種牡馬名出走
回数
出走
頭数
勝利
回数
勝利
頭数
収得賞金
(万円)
1マインドユアビスケッツ(USA)4931666448.0
2サトノクラウン3826665268.0
3グレーターロンドン95324695.6
4デクラレーションオブウォー(USA)3621554248.0
5リアルスティール4326334208.0
6ビーチパトロール(USA)4219333677.5
7サトノダイヤモンド2213113269.0
8ミッキーロケット157332793.4
9ファインニードル3014112584.0
10ヤマカツエース1810222286.0
11シャンハイボビー(USA)2411222192.0
12レッドファルクス3118111992.8
13タリスマニック(GB)2316111010.0

どうしてこうなった。以下上位陣への所見。

1位:マインドユアビスケッツ(USA)

 「なぜ小回り芝1800mを逃げ切る産駒が出てくる…(トーアライデン)」というのが第一の感想。まぁ母がマルターズアポジーの半姉なのである程度合点はいくのだが。それを抜きにしても、勝鞍の内訳が芝4勝(1400m,1500m,1600m,1800m)ダート2勝(1000m,1700m)というのは紛れもない事実。Deputy Minister3×4、Blushing Groom4×5、Hail to Reason5×4という近交型なので、自身に似たダートスプリンター・マイラーを量産するかと思ったが、思いの外適性は幅広い様子。自身は3歳4月に勝ち上がるまで5戦を要したにも関わらず、この動き出しの早さにも驚かされる。馬格に恵まれた馬が多く、小回りの函館小倉で苦戦して大箱新潟とコーナー角の緩い札幌でそれぞれ2勝という辺りはそれらしい。夏競馬はダート競走の施行数自体が少ないので、最終的には芝ダート半々若しくはややダート寄りに落ち着くはず。大物の気配こそないが、今後も堅実に勝ち星を重ねて上位入着することは間違いない。

2位:サトノクラウン

 開幕週の初勝利からしばらく伸び悩んだが、8月に5勝の固め打ち。勝鞍は全て芝のマイル以下(1000m,1200m,1400m,1500m×2,1600m)であり、現役実績からは違和感を覚える。ただし、父Marjuの重賞勝ちはいずれもマイル、母ジョコンダⅡは芝マイルのリステッド勝ちで、全姉ライトニングパールはスプリントG1馬という血統背景を踏まえれば、寧ろ現役実績の方がイレギュラーだったとも言えよう。自身はデビュー3連勝で皐月賞1番人気に推されており、早期から完成度が高い産駒が多いのも納得。派手さはないが実直に先行できるタイプが多いのは大きな強みで、血統的共通点は無いがダイワメジャーのような仕上がり早のアベレージヒッターらしさを感じる。同期最多の血統登録123頭という数的有利も後押しに、現状リーディングの最右翼。新馬戦2,3,4着が勝ち上がり済のクラックオブドーンがどれ程の器か、若しくはこれから新たに大物候補が出てくるかが課題となる。

3位:グレーターロンドン

 小倉2歳Sで重賞制覇一番乗り。勝利頭数は2頭と少ないが、そもそも出走頭数が5頭であり、勝馬率40%というリーディング最上位並みの数字を叩き出している。勝馬2頭はいずれも芝で強烈な末脚を披露。現役時代に発揮し切れなかったポテンシャルの高さを感じる。距離適性は最終的にマイル近辺に落ち着くはず。血統登録44頭と母数が少ないだけにこのまま上位入着は厳しそうだが、今後の活躍に要注目。シルバーステートに次ぐ日高の雄となれるか。

4位:デクラレーションオブウォー(USA)

 14年から種牡馬入りしており、欧米豪で既にG1馬を輩出しているため、この活躍に今更驚きは無い。勝鞍はいずれも芝で、その内訳が小倉1200m×2,東京1400m,新潟1600m,札幌2000mと異なる条件である辺りは、War Front系らしい捉えどころのなさを感じる。血統登録88頭とそれなりの数は揃えているので、このまま掲示板を外すことはないだろう。アメリカンペイトリオットと同様の手堅いイメージで。

5位:リアルスティール

 7月下旬にようやく初勝利と時間を要したことを考えれば、何とか恰好はつけた形。とはいえ繁殖質を考えればいただけない数字であることは間違いなく、個人的にも今世代最注目種牡馬だっただけに、この結果は残念としか言いようがない。産駒の多くが捌きの硬いゴトゴトした走りをしており、良くも悪くもMonevassia(=Kingmambo)の遺伝力の強さを感じる。現状勝鞍は全て芝だが、母系次第ではダート馬も出てきそうだ。配合について考えると、マイラーらしさを緩和するために欧州中距離血脈を入れたいが、その手の母は殆どの場合Nureyev≒Sadler’s Wells血脈を内包するため、Monevassiaを刺激してしまうというジレンマが発生。そういった意味ではフェイトは理想的な形をしており(独SラインでSpecial血脈なし)、新馬戦のパフォーマンスからも出世頭になりそうな予感。

 下馬評1番人気(であろう)サトノダイヤモンドはまさかの着外(7位)。産駒は仕上がりに時間が掛かりそうな胴長ステイヤー体型が多く、秋からクラシック本番にかけて成績を上げてくることは間違いない。とは言ってもここまで通算1勝というのは、繁殖質を加味すると流石に擁護しきれない成績。大将格と目された唯一の勝馬ダイヤモンドハンズの長期離脱も含め、上位進出は厳しいと言わざるを得ない。

 因みに、夏競馬終了(9/4開催終了)時点でのJRA2歳リーディングは以下の通り(新種牡馬は赤字)。

順位種牡馬名出走
回数
出走
頭数
勝利
回数
勝利
頭数
収得賞金
(万円)
1エピファネイア7348121115132.6
2ダノンバラード55246410144.3
3ビッグアーサー4922549602.4
4ハーツクライ4029668753.2
5ルーラーシップ4026777697.6
6ダイワメジャー4327667339.6
7ドゥラメンテ2417547239.0
8モーリス5234557010.0
9マインドユアビスケッツ(USA)4931666448.0
10シルバーステート4328556234.0
11キズナ4028665986.0
12ジャスタウェイ4826445950.8
13ドレフォン(USA)4626555458.0
14サトノクラウン3826665268.0
15キンシャサノキセキ(AUS)3519334870.0
16ヘニーヒューズ(USA)2820444760.0
17グレーターロンドン95324695.6
18カレンブラックヒル2112334616.2
19ゴールドシップ3823224578.0
20ロードカナロア3529334452.0

 過去10年でファーストシーズンリーディングサイアーが2歳リーディング5位以内を外したのは、12年(ブラックタイド17位)・15年(ヴィクトワールピサ15位)・18年(ジャスタウェイ6位)の3回。勿論リーディング順位だけが全てではないし、ここ数年は偶々新種牡馬の当たり年が続いただけで、本来こんなもんでも充分なのかもしれないが…。年末には手の平返しで褒めちぎることが出来るように、各位頑張っていただきたいところである。

 新種牡馬以外にも、ビッグアーサー・ダノンバラードの躍進やBMSダイワメジャー無双など、トピックスには事欠かない2歳戦線血統事情だが、その話は気力があればまたの機会に。

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