2024年新種牡馬を考える

【参考】2024年主な新種牡馬と初年度種付概況

※初年度産駒血統登録50頭以上の種牡馬のみ掲載。

2024年JRA新種牡馬リーディング予想

◎サートゥルナーリア

 初年度種付料は600万円で同期1位。血統登録数は142頭で同期2位だが、社台グループ生産馬に限れば59頭で同期1位。供用開始から種付料をジワジワと上げており、種付頭数も200頭前後をキープ。NFを中心に高い評価を得ており、セレクトセールでも高額落札を連発した。新種牡馬リーディングのみならず、今後の日本競馬を背負って立つ種牡馬になることに期待している。

血統解説

 母シーザリオはG1-優駿牝馬・G1-アメリカンオークスなど重賞3勝のJRA賞最優秀3歳牝馬。半兄エピファネイアはG1-ジャパンC・G1-菊花賞など重賞4勝、半兄リオンディーズはG1-朝日杯FSを制したJRA賞最優秀2歳牡馬。父ロードカナロアについては個別考察記事参照。本馬は父の2世代目産駒、母14歳時の9番仔にあたる。

 「ロードカナロア×Sadler’s Wells(=Fairy King)」はパンサラッサ・ダノンスコーピオン・ステルヴィオなどと共通。Nureyev≒Sadler’s Wellsのニアリークロスにより、3/4同血の半兄リオンディーズと同じく早期から完成度の高いタイプで、デビュー4連勝でG1-皐月賞を制覇した。また、Somethingroyal6×7×6も内包することで、レディブラッサム(Secretariat=Syrian Sea)的・シーザリオ的しなやかなストライドがより強く表現。そのため本質的には大箱向きと思われるが、何故か好走実績は中山内回りに偏り、東京での2戦は共に着外に敗れた。東京優駿のゲート裏輪乗りでエキサイトしていた姿が印象深く、府中には本馬からシーザリオ的気性難を引き摺り出す何らかのスイッチがあったのではないかと考えている。結局皐月賞以降G1タイトルには手が届かなかったが、ポテンシャル自体は並みのG1馬と一線を隔していた……と思う。

産駒展望

 産駒は自身とは異なるコロンとしたマイラー体型が多い印象。一方で体質の良さもよく受け継いでいるため、見た目以上に距離の融通が利くタイプは多いだろう。始動に時間が掛かるイメージも無く、主戦場は芝マイル~中距離になりそうで、2歳G1・春クラシックを狙うには最適の種牡馬と言える。キングカメハメハ系種牡馬のセオリーに従えば、Fairy King(=Sadler’s Wells≒Nureyev)やEl Gran Senor(=Try My Best)との配合に狙いが立つ。ただし自身が既にNureyev≒Sadler’s Wellsのニアリークロスを持っていることや、Northern Dancer血脈がかなり濃いことを考えると、まずはこれに対して異系の血脈を取り入れることを第一としたい。半兄エピファネイアを再現するシンボリクリスエス肌など、母父もしくは二代母に非ND血脈を配して『3/4ND・1/4異系』の形を作るのがベスト。SSクロスは、4×3までなら肯定的に捉えてよいだろう。

〇ナダル

 初年度種付料は400万円で同期2位。血統登録数は98頭で同期5位だが、社台グループ生産馬に限れば43頭で同期2位。初年度はやや強気の価格設定ながら多くの繁殖を集めることに成功したが、種付料・種付頭数ともに減少が続く。産駒の活躍で歯止めをかけたいところ。血統登録数的にはやや厳しい印象も、ポテンシャルの高さでリーディング上位進出に期待。

血統解説

 二代母Solar ColonyはPleasant Stage(G1-BCジュヴェナイルフィリーズ 他/エクリプス賞最優秀2歳牝馬)の全妹。父BlameはG1-BCクラシックなどダート中距離路線で重賞6勝のエクリプス賞最優秀古牡馬。本馬は父の6世代目産駒、母6歳時の2番仔にあたる。

 父Blameが「Roberto×Mr. Prospector×Special」のダート黄金配合であり、本馬はMr. Prospector4×4でこれを継続。米血らしい割れた筋肉の巨漢で、先行力を武器にデビュー4連勝でG1-アーカンソーダービーを制覇した。ケンタッキーダービー最有力候補と目されたが、調教中の左前肢骨折により現役引退、翌年より本邦で種牡馬入りする運びとなる。雄大な馬格と優れたスピードは、自らの身を滅ぼす諸刃の剣だったと言える。

産駒展望

 産駒には自身の馬格をよく伝えており、サイズ不足と感じる産駒はほとんど覚えにない。全体にNasrullah×Princequillo血脈が強いので、小回りコースで器用に加速する競馬よりも、大箱コースを惰性でゴリ押す競馬の方がイメージしやすい。距離はマイルを中心にある程度融通が利きそうで、新設された大井ダート三冠路線への適性に期待できそうだ。父Blame産駒のG1馬は本馬を除き牝馬に集中しており、Senga(G1-仏オークス 他)やAbscond(G1-ナタルマS)、本邦ではランドネ(L-スイートピーS)など、一定数芝馬が出ているのも特徴。これを引き継いでいれば、本馬の産駒から桜花賞で穴を開けるような馬が出てきても何ら不思議はないだろう。Coutly Dee・Special・Narrateといった多くの名牝・名繁殖の血を内包するので、配合的な狙いは多種多様。キングカメハメハ系(Bound≒Nureyev)や今後増えるであろうドレフォン肌(Preach=Yarn)との配合が鉄板となるのでは。

▲ルヴァンスレーヴ

 初年度種付料は150万円で同期7位タイ。血統登録数は149頭で同期1位、社台グループ生産馬に限れば31頭で同期3位。初年度はかなりのお値打ち価格ということもあってか日高の牧場から厚い支持を受け、同年本邦供用種牡馬トップの223頭を記録。翌年以降種付料の増加に伴い種付頭数は減少しているが、根強い人気を誇る。数的有利は間違いなく、芝適性次第では首位まで狙えるはず。

血統解説

 ファンシミン牝系出身。母マエストラーレはアイアンテーラー(Jpn3-クイーン賞)の半姉で、自身はJRA4勝。近親にチュウワウィザード(JRA賞最優秀ダートホース)など。ラインクラフト・アドマイヤマックス・ソングオブウインドなど数多くの芝重賞馬を輩出してきた社台グループの名牝系だが、二代母オータムブリーズから派生する枝はティンバーカントリーの影響が強いのか、ダート路線での活躍が目立つ。本馬は父の11世代目産駒、母9歳時の2番仔にあたる。

 直接クロス3×5を含め、全体にRoberto(Hail to Reason・Nashua・Bull Leaなど)の構成要素を増幅した配合型。シンボリクリスエスは芝の大物も輩出したが、本馬は父のNasurullah×Princequillo血脈をほぼ弄っていないため、中距離ダート志向が強い馬力型に発現した。Jpn1-全日本2歳優駿とJpn1-ジャパンダートダービーで世代最強を証明し、秋には古馬相手のG1-マイルCS南部杯・G1-チャンピオンズCを制覇、3歳にして日本ダート界の頂点に君臨した。経歴からは早熟早枯と捉えられても仕方ないが、Hyperion血脈を豊富に抱える母系を見る限り成長力がなかったとは考え難い。怪我さえ無ければ、古馬になって更なるパフォーマンスを見せてくれていたはずだ。

産駒展望

 産駒はイメージしていたよりもやや細身に出る印象が否めないが、動きの柔らかさは目立つ。シンボリクリスエス~Roberto父系らしいフィジカルよりも、母父ネオユニヴァース的なしなやかさを強く遺伝しているのだろう。現状を見る限り芝ダートの適性は半々ぐらいで、母系や配合によって様々な適性の産駒が出そう。昨今の種牡馬にしては珍しくNorthern Dancerの血が薄いので、Northern Dancerクロスのうるさい母との配合を積極的に狙っていける。特にキングカメハメハ系との配合では、近親チュウワウィザードなど多くの活躍馬を輩出する「Mr. Prospector×Special×Roberto」のダート黄金配合も完成するので、まずはここに注目。ダート適性の核であるティンバーカントリーをPlaymate(=Numbered Account)やFall Aspenの牝馬クロスで弄る配合も面白い。NF産の初年度産駒の内、半数(8/16)がクロフネ肌というのはなんとも匂うところ。

★シスキン

 初年度種付料は350万円で同期3位。供用初年度シーズン序盤の種付中に転倒してしまい、大事をとって以降の種付を見合わせ。結果、種付頭数20頭・血統登録数7頭とスタートダッシュ大失敗となってしまった。以降も苦戦傾向が続いている。血統登録数的に上位進出はまず不可能なのだが、それを持って余りある魅力の一頭として紹介しておきたかったため、この印とした。

血統解説

 Best in Show牝系出身で、アーモンドアイ(JRA賞年度代表馬 2回)・Rags to Riches(エクリプス賞最優秀3歳牝馬)など一族の活躍馬は枚挙に暇がない。二代母Silver StarはXaar(カルティエ賞最優秀2歳牡馬)の全妹。父First Defenceは芝・ダートの重賞を制したスプリンターで、エンパイアメーカーとは父系・牝系が共通する。本馬は父の8世代目産駒、母6歳時の2番仔にあたる。

 代々Nasrullah×Princequillo血脈の強いスプリンターが重ねられたアウトラインだが、Best in Show6×4の名牝クロスをはじめとした名血名配合で埋め尽くされており、底支えは充分過ぎるほど。2歳5月のデビューから僅か3ヶ月でのG1-フェニックスS制覇に加え、無傷5連勝でのG1-愛2000ギニー制覇を実現させた、早熟性とスピードの絶対値の高さこそが本馬の最大の武器である。Unbridled’s Songを異系とする「3/4ND・1/4異系」の形式で全体のバランスも好ましい。

産駒展望

 産駒数が少なく傾向を掴みかねるが、自身に似て仕上がりは早めの印象。距離に限界はありそうで、芝のマイル前後が主戦場になるだろう。父系を考えればダートもこなせてよい。現代日本の主流血統とニックスにあたる血脈で埋め尽くされているため、ディープインパクト肌・キングカメハメハ肌・ハーツクライ肌など、多くの内国産芝中距離A級繁殖と配合して無理なく好型になる点が優れている。母系に入って輝く血統とも言えるので、母馬優先のあるクラブでは積極的に狙っていきたい。

その他

 次点には△フィエールマンを推す。クラブツアーで見た産駒のしなやかな歩様が印象深く、自身の体質の良さをよく伝えているようだ。真打コントレイルが控えるディープ後継争いの伏兵として注目したい。以下、△アドマイヤマーズ△ゴールドドリームまで。

 今回名前を挙げなかった中にも見所のある面子が多く、かなり層の厚い世代になるのでは。6月以降のデビューを楽しみに待つ。

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