自称血統評論家が2024優駿牝馬を考える

参考:2歳牝馬番付・桜花賞考察

考察

 マイルを根幹に進んできた牝馬クラシック路線に於いて、全馬未経験の2400mで施行される最終戦優駿牝馬は異質の存在。未知の舞台でのパフォーマンスを読み取る血統評論家にとっては、牡馬クラシック最終戦の菊花賞と並ぶ”腕の見せ所”と言えよう。

 好内容で一冠目を制した◯⑦ステレンボッシュは明らかに中距離向きの血統・馬体であり、ここまでの戦歴は素質の高さが為せる技。乗り替わりは痛いが、ここでも連対を外すイメージは湧かない。抜けた1番人気が示す通り、手堅くいくなら当然ここからだろう。

 それでも今年は◎⑫チェルヴィニアでいきたい。以下、回顧引用。

ハッピートレイルズ牝系。二代母ハッピーパスはJpn3-京都牝馬S制覇。母チェッキーノはG2-フローラSを制しG1-優駿牝馬2着、コディーノ(G3-東スポ杯2歳S 他)の全妹。「ハービンジャー×キングカメハメハ」はブラストワンピース・モズカッチャンと共通。「3/4ND・1/4異系」の好配合。「サンデーR×木村師」はジオグリフ・ステルヴィオ・プレサージュリフトの重賞馬3頭を輩出する鉄板タッグ。大箱中距離馬。3回東京デビュー見込。

6月初週の新馬戦は、各陣営の現状使えるエース級が集まることで知られている。有名どころで言えば、19年のサリオス、18年のグランアレグリア・ダノンファンタジー、17年のケイアイノーテック・ステルヴィオetc…。昨年も初週デビューのオールパルフェ(新馬戦2着)がG2-デイリー杯2歳Sを制覇。ココを使ってくる時点で、勝ち負けに関わらず将来の活躍が期待されている素質馬だと考えてよいだろう。

本馬の半兄ノッキングポイントは、昨年の新馬戦で前述のオールパルフェを差し切り東の一番星を挙げた。その後は何故かマイル路線に拘り、結局期間内での重賞制覇は叶わなかったが、毎日杯2着→東京優駿5着で地力の高さは証明。母チェッキーノの繁殖ポテンシャルの片鱗は見えた。本馬も6/4東京芝1600mでデビュー予定。兄に続いての初週勝利から、兄とは異なる順風満帆なクラシックロードを歩んでほしいところ。

自称血統研究家のPOG指名馬2023-2024 – Hyperion最強

08/12 未勝利(新潟芝1800m/良) 1:46.9

49.2-12.5-45.2のどスロー。好スタートから控えて逃げ馬マークの番手追走。軽く仕掛けてラスト1ハロンで先頭に立つと、追わずそのまま後続を突き放し6馬身差の圧勝。レース上がり5F57.7は同距離歴代3位タイ。6月新馬戦時から高いパフォーマンスで注目していたが、2戦目で更に上げてきた印象。

半兄ノッキングポイントも新馬戦時から非常に高く評価してきた馬だが、G3-新潟記念で遂に重賞制覇。半弟の22年産駒(父ブリックスアンドモルタル)も相当デキが良く、チェッキーノの繁殖能力の高さは半端ではない。距離延長でパフォーマンスを上げたように本質的には中距離馬だが、新馬戦でもクラシック最上位候補のボンドガールに迫ったようにマイルも充分こなせる。今年の牝馬路線は既に大物候補が揃っている印象で、今から来年が楽しみだ。

2023年度2歳勝ち上がり診断③【3回新潟/3回小倉/1回2回札幌】-Hyperion最強

◎チェルヴィニアはまずまずのスタートから中段追走。3-4角から直線半ばにかけて、両サイドからプレッシャーを掛けられたが、3着馬が抜け出したスペースを逃さず抜け出すと、上がり33.3の末脚で1馬身3/4差の快勝。勝ち時計1:33.6はレースレコードで、レース上がり5F57.7は同距離歴代10位タイと時計面も文句無し。鞍上のソツない騎乗も含め、着差以上の好内容として評価したい。父母ともに中距離志向が強く、重ね重ね言うが決してマイラーではない。今回はポテンシャルの高さを再認識させられたレースであり、牝馬クラシック路線はこの馬を中心に回ると見て間違いないだろう。

自称血統研究家が2023アルテミスSを考える-Hyperion最強

 前走は大外枠で壁を作れず終始外外を追走、直線でも挟まれる不利があり13着に大敗した。ロスが無ければ上位入線していたとまでは言わないが、もう少し見所のある競馬は出来たはずだ。前走時点で480㎏超とこの時期の牝馬としては馬格がある方だが、無駄肉の少ないシャープな造りは明らかに中距離馬で、舞台替わりは間違いなくプラス。超長欠明けを一叩きして状態上向き、乗り慣れた名手ルメールに手が戻り、巻き返しの体勢は整った。POG指名馬という贔屓目はあるが、レベルの高いこの世代にあっても器の大きさは間違いなくトップクラス。2着に敗れた新馬戦の時点でここでの本命を心に決めた素質馬の逆襲に期待。

 ▲⑰タガノエルピーダも贔屓の一頭。以下、回顧引用。

10/14 新馬(京都芝1600m/良) 1:34.3

48.8-45.5のどスロー。スタート直後外側にやや膨れつつ、逃げ馬マークの内番手追走。直線でジワジワと末脚を伸ばし、逃げ粘る2着馬を3/4馬身差捉えて優勝。レース上がり5F57.9は同格同距離で、グランアレグリアやリバティアイランドらに次ぐ歴代7位。また「レース上がり1F11.0以下の新馬・未勝利芝1600m」カテゴリに於ける全体時計1:34.3は、前回A評価としたショーマンフリートの記録を0.8秒上回り歴代1位となった。

母タガノレヴェントンは現役時代未勝利も、本馬を含め出走産駒9頭中8頭が勝ち上がり、タガノトネール(G3-武蔵野S 他)・タガノエスプレッソ(G2-デイリー杯2歳S)・タガノディアマンテ(OP-万葉S)と3頭のOP馬を輩出する名繁殖。その母フィバリッシュが持つAmerigo≒Hornbeamを累進し、Nureyev4×3を加えた『Nasrullah×Hyperion』的ナタ斬れを堅実に伝えている。キズナとの配合が特別良いとは思わないが、本馬はキズナ牝駒らしい軽快なスピードと母の持続力がバランスよく発現。阪神外マイルに替わって、いかにもパフォーマンスを上げてきそうだ。背景や勝ち方の見た目からは地味さが拭えないが、クラシック路線のダークホースとして要注目。

2023年度2歳勝ち上がり診断⑤【4回東京/2回京都/3回新潟】-Hyperion最強

 2歳牝馬番付でも関脇に据えたように新馬戦のパフォーマンスは圧巻の一言で、阪神JFを除外されスライド出走した朝日杯FSでは、ジャンタルマンタルと0.2秒差の3着と地力を証明。チューリップ賞(4着)こそ精彩を欠いたものの、前走忘れな草賞を横綱相撲で完勝し、ようやくクラシックの舞台に駒を進めることができた。440㎏前後の軽量馬だが、身はしっかり詰まっており迫力充分。本質的に距離は幾分長く、8枠17番をどう捌くかが鍵となるが、ポテンシャルはここでも上位。

 以下、桜花賞組から△⑬スウィープフィート・△⑭ライトバック、トライアル勝ち馬の△⑤コガネノソラ・⑩アドマイヤベルまで。

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