スプリンターズS血統予想2021

始めに

この記事では、血統研究家としての視点からGⅠレースの予想を公開する。血統予想家を名乗るつもりは毛頭ないが、それでも予想を公開するのは偏に自身の血統論の正しさを証明するためである。馬券は本命馬の複勝一点。馬券上手ではないので、敢えて私の本命馬を避ければおいしい馬券にありつける…かもしれない。

レース概要

中山芝1200㍍で行われる、秋の短距離王者決定戦。外回りの向正面頂上からスタートし、高低差4㍍の坂を下り続け、最後に310㍍の急坂直線を駆け上がるコースレイアウト。

基本的には前後半差-1.0を超える前傾ラップになりやすく、サンデーサイレンス的しなやかさが弱点に変わる傾向が強い。過去10年の同コース良馬場で施行された平均タイムが1.07.5であるのに対し、春の短距離王者決定戦である高松宮記念(中京芝1200㍍)の同条件平均タイムは1.08.2よりスピードが求められる条件になっていると言える。

4回開催最終週になるが、前週時点ではある程度の時計も出ており、雨が降らない限りは例年通りの高速決着で予想を組み立てたい。

前哨戦考察

北九州記念(小倉芝1200㍍)

レースラップ

11.7-10.6-10.9-11.2-11.7-12.1

出走予定馬成績

ファストフォース(2着)、モズスーパーフレア(3着)、ジャンダルム(7着)、アウィルアウェイ(14着)

所見

雨の稍重馬場での開催。好ダッシュからモズスーパーフレアが単騎逃げに持ち込み、前半33.2。殆どの馬が向正面から内を大きく開けて走る外伸び馬場で、上位2頭は外を回した好位差し。となればインベタの競馬を選んだモズスーパーフレアの3着を褒めたくなるが、同じく内を選んだボンセルヴィーソが0.4秒差6着と考えると何とも評価しづらい。3人気14着のアウィルアウェイは、道悪馬場では1-0-1-7、降雨時0-0-0-4と雨が響いたか。

キーンランドC(札幌芝1200㍍)

レースラップ

12.3-10.7-11.0-11.5-11.6-12.0

出走予定馬成績

エイティーンガール(2着)、カイザーメランジェ(4着)、メイケイエール(7着)、ミッキーブリランテ(10着)、ロードアクア(13着)

所見

晴れの良馬場での開催。好スタートを決めたレイハリアだが、掛かりながら主張するメイケイエールにハナを譲る形で前半34.0。ハナを切ってしまえば落ち着くところはいつものメイケイエールだったが、4角でカイザーメランジェに並びかけられると早々にやる気を失い後退。控えて好位インから抜け出したレイハリアが優勝、外から追い込んだエイティーンガールがアタマ差2着となった。優勝馬は本番を回避、そもそもメンバーレベルにも疑問があり、敢えてこのレースから狙いたい馬もいないのが正直な感想。

セントウルS(中京芝1200㍍)

レースラップ

11.9-10.3-10.7-10.9-11.1-12.3

出走予定馬成績

レシステンシア(1着)、ピクシーナイト(2着)、クリノガウディー(3着)、ジャンダルム(4着)、タイセイビジョン(7着)、ラヴィングアンサー(8着)

所見

曇りの良馬場での開催。好発を決めたレシステンシアだが、押して主張するシャンデリアムーンがハイペースで逃げて前半32.9。番手で坂下から抜け出したレシステンシアが、中団から追い上げたピクシーナイトの末脚をハナ差制して優勝。好位の内を確保して3着のクリノガウディーは、ここでは力負けの形。逆に、出遅れ最後方から追い込んで0.2秒差4着のジャンダルムは消化不良の一戦となった。本番の想定人気からも分かるように、最重要ステップレースであることは間違いない。中山替わりによる適性差を見極めたい。

注目馬血統解説

レシステンシア

母マラコスタムブラダは亜GⅠフィルベルトレレナ大賞典(T11F)制覇。半弟にグラティアス。ダイワメジャー×Sadler’s Wellsはメジャーエンブレム、アドマイヤマーズと共通し、勝馬率55.2%(74頭/134頭)。母のNumberSadler’s Wells3×3が強烈。父のスピードで先行して母のスタミナで粘る1400ベストのマイラー。ハイペースの潰し合いは望むところだが、この条件でGⅠ級スプリンター相手に、自分の競馬ができるかどうか。

ダノンスマッシュ

二代母Hollywood WildcatはBCディスタフ(D9F)など米GⅠ3勝。母スピニングワイルドキャットはBCマイル(T8F)を制したWar Chantの4分の3妹にあたる。サンデーサイレンスを持たず、母がRoberto4×3、自身がMr. Prospector4×4と、パワーを増幅した純スプリンター。スプリンターズS2着→香港スプリント1着→高松宮記念1着と昨秋以降の充実度が著しい。前走チェアマンズスプリント6着からの長欠明けだが、元々鉄砲駆けするタイプ。現状手薄な国内スプリント路線では頭一つ抜けた存在。

ピクシーナイト

母ピクシーホロウは中央3勝(芝1500-1800㍍)。Halo5×4ノーザンテースト5×5Tom Fool7×7×7×7でランニングヒロインを刺激した配合。母のスピードで先行し、父の潜在的スタミナで粘る純マイラー。スプリント戦の流れでは好位差しの形になるが、それで結果を出しているのは配合からは想像し難い。斤量か、はたまた圧倒的な地力の為せる技か…。いずれにせよ、個人的にスプリント戦では本命を打ちたくないタイプ。

ジャンダルム

Great Lady M.牝系。母ビリーヴはスプリンターズS、高松宮記念を制した短距離女王。半兄にファリダット、半姉にフィドゥーシア。クラシック時期には素質の高さで2000㍍まで対応したが、本質的には機動力型の純マイラー。二代母Great ChristineはDanzigGreat Lady M.1×1の強烈過ぎる父母相似配合で、年月を経て短距離適性が表面化してきた印象。前哨戦では出遅れ追込届かずの競馬が続いており、本番での巻き返しに期待がかかる。出遅れ癖がついている可能性も高いので、そこをどう捉えるか。

モズスーパーフレア

母Christies TreasureはエイコーンS(D8F)など米GⅠ3勝のJersey Girlと同血。半姉Sacristyは米GⅢオールドハットS(D6F)制覇。本馬は米GⅠシガーマイルH(D8F)を制したJersey Townと同血にあたる。Bold Ruler5×5×6×5で、母父Belong to Meの部分にはBold Rulerを引かない「4分の3同系・4分の1異系」の配合型。サンデーサイレンスを持たず、米血で固められたスピードタイプの純スプリンターで、このコースはベスト条件。現状のベストバウトは前半32.8で運んだ19年スプリンターズS(2着)だと思っているが、最近は行き脚に衰えが見られる…というよりも意図的に抑えているように見えるのが気掛かり。

結論

土曜中山芝は内先行有利が顕著な結果となった。上位人気勢が軒並み外枠を引いているのは悩ましいが、脚質的には前目に付けたいクチが多いので、馬場による不利を受けるのはジャンダルムくらいだろう。

想定される先団の隊列は、モズスーパーフレア・ビアンフェの逃げ、ファストフォース・レシステンシア辺りが続き、その直後にダノンスマッシュ・クリノガウディー・ピクシーナイト…といったところだろうか。ここで考えなければならないのが、内目を引いたメイケイエールの存在である。これまではジェットスキー状態で先行し、ハナを取り切ることで落ち着かせてきたが、GⅠ級スプリンター相手となると単純にスピードの差から今までの戦法は使えない。となればメイケイエールに残された道は、「①最初から一切抑えず強引にハナを取りに行く」「②逃げ2頭から離れた先団先頭で落ち着かせる」「③先団内で大暴れを続ける」の三択。この内で可能性として高いのは②③のパターンだが、どちらにせよ逃げ2頭以外の先行馬はメイケイエールに意識を向けつつのレースになりそうで、本来の能力を発揮できずに終わる可能性も考慮しなければならない。

以上より◎モズスーパーフレアとする。昨年同レースではビアンフェがゲート時点から掛かっていたこともあり、2頭で後続を大きく離した逃げを打ち、共倒れとなった。その後ビアンフェは去勢を行い、気性面は良化。中竹師も「ハナにこだわっているわけではない」との発言をしている。一方で単騎逃げ宣言をしたのが音無師である。上述の通り、本馬のベストバウトは前半32.8で運んだ19年スプリンターズS(2着)。今回もそのイメージで臨んでくるというのは非常に心強い発言だ。競られることなくハイペースで逃げることができれば、今の馬場ではそう簡単には捕まらない。昨年のような「距離適性を超越する絶対能力の高さを見る競馬」も悪くないが、私がこのレースで一番見たいのは「スプリンターがスプリンターらしく勝つ競馬」。今度こそ、文句なしの短距離女王の誕生に期待したい。

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